BTC急落も下げ止まる ジャクソンホール控え上値重いか

14日〜20日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比439,519円(10.33%)安の3,816,095円と大幅安を記録した。
米連歩準備制度理事会(FRB)による年内追加利上げの可能性台頭や、中国恒大集団(エバーグランデ)の米国での破産法適用申請を受け、BTC円は16日に420万円台後半での揉み合いから下抜けを演じ、翌17日には400万円をも割り込んだ。
中国景気の後退や不動産バブルの崩壊が懸念される中、18日も広範な金融市場でリスクオフムードが広がり、BTCは一時380万円下抜けを窺う展開を繰り広げたが、ドル建てで前日安値付近で下げ止まると、週末はXRPやステラ(XLM)などの一部アルトコイン相場の上昇が追い風となり380万円を回復。ドル建てでも週足終値で26,000ドル(≒378.4万円)は維持した。

第1図:BTC対円チャート 1時間足 出所:bitbank.ccより作成
チャイナリスクやFRBによる追加利上げ観測など、市場の織り込みが甘かったイベントの連鎖でBTCは2カ月ぶり安値に沈んだ格好だが、17日にビットコイン先物市場で巨額のロングポジションの清算があったことや、ポジション維持手数料に当たる資金調達率が大きくマイナスに振れたこともあって、その後の相場下値は限定された模様だ(ロングポジションが積み上がると清算の際、反対売買によって相場に下押し圧力が掛かりやすい)。
また18日には、「恐怖指数」として知られるシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ指数(VIX)が3カ月ぶりの高水準まで上昇したが、17日まで6連騰していた米10年債利回りは、国債の短期的な売られ過ぎ感から買い戻しが入り、18日の米債利回りは短期から長期ゾーンまで上げ一服の様相を呈した。
ただ、こうした米国債利回りの傾向は今週にかけて継続する公算は低いかと指摘され、今週のBTC相場は上値の重い展開となろう。確かに、米国債相場は短期的に売り込まれてはいるが、FF金利先物市場では年内追加利上げを依然として十分に織り込み切れていない。また、昨今の米経済指標では、インフレ再加速や製造業の底打ちを想起させるデータも散見され、25日のパウエルFRB議長のジャクソンホール会議でのスピーチを控え、議長の姿勢がややタカ派に傾斜することへの警戒感が広がるだろう。
他方、テクニカルの側面では、BTC対ドルは長期トレンドとして意識されやすい200日移動平均線と、今年の相場上昇トレンドのガイドとなった上昇トレンドライン(第2図内橙線)を明確に下抜け、上昇トレンドに幕を下ろした格好となっている。一方で、BTCの相対力指数(RSI)は「売られ過ぎ」水準とされる30%を既に下回っており、テクニカル的には目先で相場が一段と水準を下げる展開も想定し難い。上述の通り、巨額のロングポジションの清算により、相場急落の燃料もある程度一掃されたことが指摘され、今週も相場の下値余地はそれほど大きくないか。
節目の26,000ドルはサポートとしてあまり頼りにならない印象があるが、2月高値の25,200ドル(≒366.3万円)周辺を目先の下値目途として見ている。

第2図:BTC対ドルとRSI 日足 出所:Glassnodeより作成

第1表:BTC概況 出所:bitbank.cc、Glassnode、coingeckoより作成

第3図:BTC対円、先物資金調達率、ハッシュレートとディフィカルティチャート 日次 出所:bitbank.cc、Glassnodeより作成

第4図:BTC対円チャート 日足 出所:bitbank.cc、Glassnodeより作成

第2表:アルトコイン概況 出所:bitbank.ccより作成