不安材料積もるも底堅いBTC サポート陥落で急落も視野に

7月31日〜8月6日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比4,074円(0.10%)高の4,133,888円とほぼ横ばい。足元では、29,000ドル水準となる約412万円周辺で揉み合いとなっている。
7月の米雇用統計を控え、420万円を背に動意に欠ける推移となっていたBTC相場だったが、結果は非農業部門雇用者数が市場予想の20万人増を下回る18.7万人増となり、米債利回りは急落を演じBTCはドル建てで小幅ながら上昇。しかし、外国為替市場でのドル円相場の急落を受け、円建てBTC相場は上値を重くした。
また、7月の失業率が改善(3.6%→3.5%)したことや、平均賃金上昇率が上振れたことで米株がその後反落すると、BTCも連れ安となり水準を一段下げた。
週末には、フォビとトロンの従業員数名が中国警察に調査されていると現地メディアが報じた他、トロン上のUSDTステーキングサービスのstUSDTが、預かったUSDTをフォビで管理している上、その多くがトロン創業者であるジャスティン・ソン氏のバイナンス上のアドレスや、同氏の個人De-Fi運用に流れているとの分析が出回り、フォビの支払不能懸念から資金引き出しが加速した模様だが、相場への影響は今のところ軽微となっている。

極めて中立的だった7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)を通過して、市場は次の政策判断の手掛かり待ちと言った状態が続いているが、7月の雇用統計はまちまちな内容となった。その上、7月の米消費者物価指数(CPI)の発表を今週10日に控え、平均賃金の上昇率が前月比と前年同月比でそれぞれ6月の0.4%と4.4%から変化がなかった他、先週3日に全米供給管理協会(ISM)が発表した7月のサービス業動向レポートでは、支払価格指数が6月の54.1から56.8に上昇しており、5月からのインフレ鈍化ペースが7月も継続するかやや不安が残る結果となった。
他方、今週13日にはアーク・インベストと21シェアーズが米証券取引委員会(SEC)に上場申請している現物ビットコイン上場投資信託(ETF)「ARK 21Shares Bitcoin ETF」の承認判断期限が迫っている(同ETFの審査は2023年5月15日に開始され、6月29日に一度判断を延期されている)。従前から指摘の通り、SECとコインベースとの間に法的対立がある限り、現物ビットコインETFはそう簡単には承認されないと見ており、今回のARK 21Shares Bitcoin ETFの判断も延期される可能性が高いと指摘され、市場の期待感に水を差すか。
その上、フォビ従業員の取り調べを受けてバイナンスがカーブの3プールで多額のUSDTをDAIに変えてリスクヘッジをしているとの噂も出回っており、現状はややFTXショックを彷彿とさせる状況となっている(FTXの経営難を察知したバイナンスはショック直前にFTトークンを売却していた)。上述の通り、市場の反応は薄いが、現状は敢えてリスクを取りに行くには不安材料が多いと言え、今週のBTC相場も上値の重い展開が続くだろう。
相場は、節目の29,000ドル周辺の水準を維持しているが、同サポートが陥落すれば下げ足を速める展開に注意したい。テクニカル的にも短中期のトレンド指標は弱気相場を示唆しており、目先での30,000ドル(≒425万円)回復も遠のいた印象があり、29,500ドル(≒418万円)が目先のレジスタンスとなるか。




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bitbank Report 2022/08/07:不安材料積もるも底堅いBTC サポート陥落で急落も視野に