FOMC通過も不透明感残る BTC手数料高騰の影響は?

5月1日〜7日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比139,036円(3.48%)安の3,8352,001円と、高値を維持するも反落した。
米地銀のファースト・リパブリック・バンク(FRC)の経営破綻を受けた米株市場のリスクオフが波及し、週明けから上値の重い展開で始まった先週のBTC相場だったが、火曜日に発表された3月のJOLTs求人件数の減少を受けた米国債利回りの低下が相場の支えとなり、380万円を維持し底堅い推移に転じた。
米連邦準備制度理事会(FRB)が2・3日で開いた連邦公開市場委員会(FOMC)では、市場の予想通り政策金利の25ベーシスポイント(bp)引き上げが決定され、声明ではこれまでの金融引き締めの効果を注視する旨が記され、利上げ停止の可能性が示唆された一方、パウエルFRB議長の記者会見は今後の動きに不透明感が残る内容となり、BTC相場は反発するも伸び悩み、節目の400万円回復に失敗した。
週後半には、アップル(AAPL)の好決算や、経営難への懸念から売り込まれていた米地銀株に押し目買いが入り、BTCは米株に連れ高となる場面もあったが、ビットコインのBRC-20トークン規格で発行されたmeme(ミーム)コイン相場が急落したことや、ビットコインネットワーク上の手数料高騰を受けたネットワークの逼迫、延いては海外大手取引所での出庫一時停止などの弊害が生まれ、週末のBTC相場は400万円から反落した。

4月の米雇用統計の結果はアップルの好決算の影に隠れた格好だが、市場予想を上回る雇用者数と失業率の改善、さらには平均時給の上振れと、労働市場の逼迫に改善は見られなかった。また、先週米供給管理協会(ISM)が発表した4月の製造業とサービス業動向レポートでは、物価指標となる支払価格指数が3月から上昇しており、今週10日に発表される4月の消費者物価指数(CPI)に懸念が残る。
また、米金融不安による与信環境の悪化が需要圧迫に繋がると指摘したが、足元では商工業向けの融資に一段の減速が確認される一方、減少傾向とはなっておらず、消費者向け融資に至っては増加しており、今一つ需要の抑制に繋がっていない可能性がある(第2図)。
市場は利上げ停止と早期の利下げを織り込んでいるが、先週のFOMCは利上げ停止を確約した訳ではなく、6月のFOMCに向けて行動の選択肢を残したとも見受けられる。物価指標の改善さえ確認されればこうした不透明感は後退すると言えるが、足元の状況から鑑みるに期待感を抱くには時期尚早と見ている。

また、ビットコインの手数料高騰も目先では材料視されよう。本来の用途とはかけ離れているにせよ、トークン発行により機能性や利便性が損なわれてしまうのは芳しい状況ではない。また、手数料の高騰は上昇相場の終盤で発生しやすい現象でもあり、市場参加者にとっては懸念の種となる可能性もありそうだ。「トークン発行」というこれまでにない需要ではあるが、手数料高騰やネットワーク逼迫の熱りが冷めるまで軟調地合いが続くか。




