ハッシュリボンがデッドクロス示現 今週は注目指標目白押し

21日〜27日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比18,721円(0.82%)高の2,303,562円とほぼ変わらず。相場は概ね230万円周辺で揉み合いに終始した。
来年夏に反原意を控えるライトコイン(LTC)相場の急伸に連れ高となり、週前半に年初来安値の220.5万円周辺から反発したBTCの対円だったが、LTCやイーサ(ETH)がそれぞれ80ドルと1,200ドルと節目の水準近辺で失速し、230万円周辺で上げ渋った。
週央には、11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、参加者の大多数が近いうちに利上げペース減速が妥当になると合意していたことが明らかとなったが、感謝祭の祝日で米市場が商い薄となったことで、BTCは24日から動意薄となった。一方、27日にはビットコインのハッシュリボンがデッドクロスを示現(ハッシュレートの30日平均が60日平均を下回る)し、マイナーから取引所へのBTC送金も急増。週末の間は引き続き動意薄な状態が続いたが、今朝方にシカゴマーカンタイル取引所(CME)のBTC先物が取引を再開すると、相場は下値を模索する展開に転じている。


BTC相場底入れの先行指標として利用されるハッシュリボンは、8月にゴールデンクロスを示現していたが、FTXショック直前からハッシュレートの伸びは鈍化し、直後からは低下基調となりマイナーの財政圧迫を示唆していた。そんな中、マイナーから取引所へのBTC送金量が今年の1月ぶりに日次1,000BTCを超え、実需筋の換金売りが加速することが指摘される(第2図)。
一方、先週も指摘の通り、今週は重要な米重要指標が目白押しとなっている。水曜夜から木曜朝方にかけては、ADP雇用レポート、第三・四半期GDP成長率、JOLTs求人件数、地区連銀経済報告(ベージュブック)が立て続けに発表され、木曜夜には個人消費支出(PCE)、失業保険申請件数と米供給管理協会(ISM)の製造業購買担当者景気指数(PMI)、金曜夜には雇用統計が発表される。
JOLTs求人件数以外の労働市場関連指標は、直近、徐々に悪化傾向を見せており、週次で発表される失業保険の申請件数は、新規と継続共に9月に底を打ち明確に上昇傾向となっている(第3図)。このことから、11月の雇用者数の伸び鈍化や失業率悪化が想定される。また、こうした中で先月のベージュブックでは約半数の地区で緩やかな景気減速が報告されており、今週も景気減速傾向が指標から確認されれば、米連邦準備制度理事会(FRB)が12月に利上げ幅を縮小する公算や、ターミナルレートが想定より引き下がるという思惑が台頭し、市場のリスク選好度が上向く可能性がある。
マイナーの売り圧力やハッシュリボンのデッドクロスによりセンチメント的にも振るわないスタートを切った今週のBTC相場だが、週後半にかけて戻りを試す余地はまだあると言えよう。特に、PCEと雇用統計はFRBが注視する指標となっており、物価と賃金上昇ペース鈍化や失業率の悪化は相場へのインパクトも大きいと見ている。





PDFリンク
bitbank Report 2022/11/28:ハッシュリボンがデッドクロス示現 今週は注目指標目白押し