高値揉み合い続くBTC 強地合い継続もFOMCに懸念

23日〜29日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比688,009円(15.35%)高の5,170,009円と2週連続で10%超の上昇を記録した。
米証券取引委員会(SEC)による現物型ビットコイン上場投資信託(ETF)の承認期待を背景に週明けから500万円台に乗せたBTC円だったが、その後はテクニカル的な過熱感や米株の軟化に上値を抑えられ、ドル建てで35,000ドル水準となる524万円周辺で上げ渋る展開が続いた。ただ、市場のETF承認への期待感はなかなか薄れる様子もなく、26日までは中東情勢の悪化を受けた金(ゴールド)価格の上昇や、アルトコインが物色されたことも相場の下支えとなり、安値を切り上げる底堅い推移となった。
一方、27日の米市場ではエネルギー、金融やヘルスケアセクターを筆頭に売りが先行し、米時間序盤のBTCは500万円割れを試したが、9月の米個人消費支出(PCE)価格指数の食品とエネルギーを除いたコア指数の伸びが継続的に鈍化したことで米国債が上昇(金利は低下)したことや、金価格の上昇を眺め相場は500万円で綺麗に切り返した。
通常であればボラティリティの落ち着きやすい週末だが、先週はアルトコインが再び物色されたことでBTCも追随し、小高く推移した。

BTCは引き続き高値揉み合いとなっており、23日の相場急伸から日柄調整が続く格好となっている。テクニカル的には、相対力指数(RSI)が「買われ過ぎ」水準とされる70%を超えた状態が続いている一方、ボリンジャーバンドでは相場が+1σと+2σの間に入っており、僅かながら過熱感が後退したと言える。また、バンド幅は拡大し上昇トレンドのシグナルとなる上昇バンドウォークの発生が指摘され、相場が+1σを割るまで不用意な逆張りには引き続き注意したい。
ただ、今週は11月1日の米時間に米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を控えており、直近2週間ほど続いているBTC市場の楽観ムードに水を差す可能性にも注意したい。特に直近の米経済指標では消費やGDP成長率の強さが示され一方で、FF金利先物市場では米連邦準備理事会(FRB)がこれ以上の利上げを行わないというシナリオが大多数の予想となっており、パウエルFRB議長はこうした市場の楽観姿勢を牽制する可能性もあるだろう。そうなれば、長期金利が上昇することが想定されるが、FRBにとっては、追加利上げに慎重を要する現状では、タカ派的なフォワードガイダンスによって長期金利の水準を上げ過ぎずに維持することが理にかなっていると言える。よって、今回のFOMCでも利上げ打ち止めに関するヒントは得られないと見ている。
FOMCまでには低下が続くコンファレンス・ボードの消費者信頼感指数の他に9月のJOLTs求人件数や10月の製造業購買担当者景気指数(PMI)の発表など重要指標を控えているが、FOMCを通過するまでは様子見ムードが広がり、BTCは高値揉み合いが続くだろう。ビットコインETFに関するニュースフローも落ち着きを見せており、上述のテクニカル的なBTC相場の上昇余地も実現するだけの材料があるか怪しくなってきた。
他方、中東情勢が悪化し金価格が上昇する中で、BTCはETF承認期待でタイミング良く上昇し、結果として金価格との連動も確認される。イスラエルによるガザでの地上戦拡大への懸念が燻る中、今週も「質への逃避」が続くと指摘され、BTCの下値は限定されるか。



