リリーフラリー早くも閉幕 2万ドル割れをうかがうビットコイン

16日のビットコイン(BTC)対円相場は332,113円(10.94%)安の2,703,333円と大幅反落したが、対ドルで節目20,000ドル水準となる266万円は死守した。
米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を控え警戒ムードが広がり、15日のBTC対円は東京時間から欧州序盤にかけて上値の重い展開となり、300万円周辺から270万円付近まで下落。一方、これによりドル建て相場が節目の20,000ドルに肉薄すると、押し目買いの様相で反発し、ショートスクイーズを伴って290万円まで戻した。
FOMCでは75ベーシスポイント(bp)の利上げが決定され相場が一時押したが、経済見通し概要では年末時点の金利着地予想が3.5%以下となり、年内にも利上げペースが緩む可能性が残され、会見ではパルエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が7月の会合では利上げ幅を50bpに戻す余地もあると発言し、リスクオフの巻き戻しで相場は一時300万円を回復した。
こうして安堵感からのリリーフラリーを演じたBTC相場だったが、昨日は買いが一巡し失速。米株先物が反落するとBTCも連れ安となり、前日安値からの上昇幅を解消。更に、昨日はドル円相場が急反落したことがBTCの円建て相場の重石となり、BTC対円相場は前日安を割り込んだ。


6月のFOMCは実に微妙な結果だった。年末までの政策金利の軌道のヒントを得られ、利上げペース低下の可能性も示唆されたが、引き締め加速には変わりなく、結局はインフレ抑制の確証が掴めるまで身動きの取りにくい状況が続きそうだ。理想としては、「FOMCでのタカ派サプライズ→相場下落→ハッシュレート低下→相場急落」となった方が綺麗に底打ちのシナリオと言えたが、相場はFOMCを無難に通過してマイニングを巡る需給の非対称性に顕著な改善は確認されず、相場が戻せば換金売りが入りやすい状況が続くと指摘される。ただ、足元ではハッシュレートの短期移動平均線がようやく低下基調になっており、需給バランスリセットの予兆も見られるか。
市場の注目は20,000ドルのサポートだ。2017年高値(19,891ドル)付近であり心理的節目でもある。また、DeribitのBTCオプションでは20,000ドルストライクプットに建玉が集中しており、ヘッジの空売りに相場が上値を抑えられやすい状況下。直近で先物の資金調達率がマイナスに振れ出したのは20,000ドルを目掛けたガンマスクイーズが起きた可能性も指摘される。
相場が20,000万ドルを割り込めば狼狽売りやハッシュレートの低下も想定され、暴落シナリオが視野に入るが、むしろ需給バランスのリセットや市場が総悲観となることで、相場は底を突けると見ている。



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bitbank Report 2022/06/17:リリーフラリー早くも閉幕 2万ドル割れをうかがうビットコイン