ジリ高続くビットコイン 鯨のBTCは取引所へ送られているか

2月1日のビットコイン(BTC)対円相場は13,010円(0.29%)高の4,445,010円。先週からジリ高の地合いが続いており、対ドルでは節目39,000ドル(≒447.2万円)の上抜けにトライしている。
週明けのシカゴマーケンタイル取引所(CME)でのBTC先物取引開始と共に430万円台後半から424万円まで下落したBTCだったが、日経平均の反発やテクニカル的なサポートに支えられ、徐々に値を戻すと、米株の続伸を受けて朝方の下げ幅を奪回し440万円台に乗せた。しかし昨日は、2016年のBitfinexハッキング事件で不正流出した119,756BTCの内、64,633BTC(約2881億円)が数回のトランザクションに分けて送金が確認され、39,000ドル水準となる447.2万円手前で上値を抑えられた。
その後も何度か同レジスタンスをトライするも失敗、米時間には、フィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁が、今年は「25bpの利上げを4回が適切」とBloombergとのインタビューで発言したこともあり、相場は一時450万円にタッチするも買いは続かず、39,000ドル水準よりも下に押し返された。
一方、今朝方には、セントルイス地区連銀のブラード総裁が、3月の50bp利上げに否定的な姿勢を示したことで相場は切り返し、再び39,000ドルをトライしている。


先週28日の米個人消費支出(PCE)は、コア指数が前年同月比で4.7%から4.9%に上昇し、市場予想もわずかに上回ったが、その他は予想と概ね合致し、総合指数は前月比で0.6%から-0.6%に落ち着いた。更に、米雇用コスト指数の伸びも低下しインフレ抑制が意識されだした印象がある。こうした状況下で、昨日のハーカー総裁とブラード総裁の発言もあり、ヒントに乏しかった先週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で払拭されなかった先行き不透明感がやや後退したと指摘される。
ただ、上述の通り、足元ではBitfinexの流出BTCが動き始めており不穏なムードも漂っている。本件に関連しているかは定かではないが、100BTC以上を保有するアドレス数は直近数日間で激減しており、鯨が動いていることに間違いはないようだ(第3図中段)。昨日の時点では、利食いの準備と想定される取引所へのBTC送金(取引所インフロー)は増加していないが(第3図下段)、目先では警戒感を誘う材料となりそうだ。暫くの間は取引所インフローの推移に注意したい。
さて、今夜は4日発表の雇用統計の前哨戦となるADP雇用レポートの発表がある。市場予想では、前者・後者とも前月比で下振れが見込まれており、予想通りの結果であれば過度な金融引き締めが行われる可能性が低くなるだろう。その場合、BTC相場は先月20日から21日にかけての下げ幅をリトレースし、500万円周辺まで回復する余地があると見ている。



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bitbank Report 2022/02/02:ジリ高続くビットコイン 鯨のBTCは取引所へ送られているか