上値トライ失敗のビットコイン 中国マイニング規制で不透明感
先週(17日〜23日)のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比1,311,343円(25.69%)安の3,793,128円と大幅に続落し、一時は今年2月からの上昇幅を掻き消す場面もあった。4月に130%超あった年初来の上昇率は、足元、約27%まで落ち込んでいる。
19日の市場全面安から一変して、翌20日のビットコインは全値戻しに成功し戻りを試す展開を繰り広げたが、21日に中国国務院金融安定発展委員会から暗号資産(仮想通貨)マイニングについて厳格な取り締まりを行う方針が伝えられ、ビットコインを始め市場は再び全面安の様相を呈した。ビットコインは200日移動平均線(428.8万円)を回復していたが、これにより再び同水準を割り込み400万円を割り込んだ。週末には、イーロン・マスク氏が、法定通貨と仮想通貨の戦いで自身は後者を支持するとツイートすると、ビットコインは一時400万円を回復したが、410万円を巡り踊り場を形成した末、相場は反落し本日未明には340万円にタッチした。
19日安値からの反発でスパイクボトムを形成したかと思いきや、中国のマイニング規制が出たことでもう一度安値をトライしにいった格好だ。今朝方のビットコイン・ハッシュレートは、150Ehash/秒周辺での推移となっており、低下の一途を辿っている訳ではないが、規制の詳細は今週中にも発表されるとされており、依然として気の抜けない状況にある。
中国当局が仮想通貨マイニングを全面禁止するかはわからないが、少なくとも化石燃料に頼るマイニング業者や、電力不足が懸念される地域でのマイニングに圧力を掛けてくる可能性は非常に高いだろう。そうすれば、撤退や縮小を余儀なくされたマイナーが保有する仮想通貨を売り払うシナリオも浮上する。
長期的に見れば、ビットコインのマイニングでCo2排出が最も多いとされる中国でこうした取締りが進めば、ビットコインのカーボンニュートラル性は大きく向上すると期待されるが、価格の面で言えばこの先は断続的にマイナーの売りが懸念され、相場に影響を与える可能性は否定できない。
今朝方のビットコインは自律反発の様相で380万円まで戻しているが、20日高値の468.7万円の上抜けに成功するまで到底「アク抜け」とは言い難いだろう。中国のマイニング規制が想定よりも厳格な内容となれば、30,000ドル(≒326.8万円)割れを再びトライする余地もあると指摘される。
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bitbank Report 2021/05/24:上値トライ失敗のビットコイン 中国マイニング規制で不透明感