仮想通貨不正流出もBTC相場は無傷 今週は為替動向に要注目

9月第4週のビットコイン(BTC)対円相場の週足は、前週比4,878円(0.43%)安の1,139,379円と小幅に反落したものの、週安値の1,072,111円からは67,268円(6.27%)戻し、長い下ヒゲを付けた「トンボ」が出現している。
先週は、米株の急落に伴うドルの上昇が相場の重石となり、週明けから週央にかけて安値を広げる展開となったBTCだが、24日のチェーンリンク(LINK)の急反発で市場全体が切り返し、BTCも週安値圏から反発。しかしその後もドル高基調が続いた影響で金相場も軟調に推移し、25日以降の週末も勢いは続かず上値は限定的だった。

週末26日には、シンガポールの大手暗号資産(仮想通貨)取引所、クーコインから1.5億ドル相当のBTCとイーサリアム(ETH)の不正流出が報告されたが、市場への影響は極めて限定的で、市場ではこうした取引所のセキュリティー脆弱性とブロックチェーンのセキュリティーは別物という認識が進んでいる模様だ。
また、先週はステーブルコインの発行総額が200億ドルに到達するというマイルストーン達成や、中国の複数メディアが、仮想通貨が今年1番の好パフォーマンス資産であると揃って意味深な報道しており、この先、あたかも中国当局の仮想通貨に対する姿勢に変調があるか含みを持たせているようだ。昨年10月の「習近平砲」からも見て取れるように、中国動向がブロックチェーン業界や仮想通貨市場に与える影響は非常に大きく、万が一規制緩和の方向に動けば市場への資金流入に繋がるだろう。
今週のBTCは為替主導で流れが出る可能性が指摘される。本日からラガルド欧州(EU)中央銀行(ECB)総裁発言、29日の独消費者物価指数(CPI)、米4-6月GDP確定値(30日)、同個人消費支出(CPE)と雇用統計(それぞれ10月1日と2日)と、金とBTC相場に影響を及ぼしやすいドルとユーロに関連する重要経済指標が目白押しだ。本稿執筆時点でBTCはやや強含んでいるが、今週もドル高ユーロ安が進行すれば、BTC相場は出鼻をくじかれる可能性もあるため用心したい。

テクニカルの側面では、BTCは「弱気一色→中立」に傾き始めている。中期の34日移動平均線や55日線は下向きで推移しているが、短期(13日、21日)線と長期(89日)線は上向き推移で、それぞれが収斂傾向にある。また、ボリンジャーバンドもスクイーズしており、次のトレンドに向けて相場が準備段階にあることを示唆している。一方、一目均衡表では強い「売りシグナル」となる三役逆転が維持されており、雲下限が相場のレジスタンスとなっている。ただ、相場が足元の水準を保てば、明後日にも均衡表が好転(転換線が基準線でゴールデンクロス)する見通しだ(第2図)。





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bitbank Report 2020/09/28:仮想通貨不正流出もBTC相場は無傷 今週は為替動向に要注目