BTC相場は値固めか反落か 「クリプトの冬」の記憶蘇る
6月第3週のビットコイン(BTC)対円相場の週足は、前週比9,204円安(- 0.92%)の993,895円と2週続落。米連邦準備制度理事会(FRB)の社債買い入れ発表を手掛かりに、週央までのBTC相場は小確りとした値動きで96万円から103万円まで浮上したものの、17日のマイニングディフィカルティー14.95%上昇を受け、失速。需給悪化懸念に手掛かり難も重なり、17日から19日にかけては3日間連続で陰線が付いた。一時は100 Ehash/sを割り込んだハッシュレートも同水準を回復し、週末の相場は節目の100万円周辺で下げ止まったが、一週間を通して方向感に欠ける展開となった。
市場の商いが細る中、BTCの10日物ヒストリカルボラティリティー(HV)は20%を割り込み、昨年9月ぶりの低水準まで落ち込んでいる(第1図)。短期物HVの低下はトレンドの始まりを示唆するが、目星い材料に乏しい状況で、一見、底固めか反落かを見定めるのは難しい。ハッシュレートが底堅く推移している間は、BTC相場も底堅い推移が期待されるが、現状では相場に上昇圧力を掛けるほどの材料になっていない。しかし、18年末から19年初頭にかけても、マイニング収益性低下とハッシュレート底入れの後にBTCのHVは低下し薄商いが3ヶ月ほど続き「クリプトの冬」とも言われたが、その間にショートポジションが積み上がり巻き戻しのエネルギーを相応に溜めていた。現在はメディアの弱気予想も目立つようになっており、相場の底堅さが続けば続くほどショートスクイーズを誘発しやすくなりそうだ。
いずれにせよ、目先では目立った売材料も確認されないため、今週のBTC相場も下値余地は限定的か。その他の材料としては、週末に発表された香港国家安全法の草案に対する欧米諸国の反応や、25日発表の米GDP確報値がある。香港の自治を巡り地政学的リスクが高まれば逃避需要が生まれ、BTC相場にとっては支援材料ともなり得るだろう。忍耐を要する状況が続いているが、引き続きネットワーク動向を睨みつつ気の緩められない一週間となりそうだ。
表:主要銘柄市場占有率 当日9時時点のデータ ※前営業日比 出所:CoinGecko.comより作成