現物ETFイベント終了に伴い、短期の投機筋は撤退か
今週の値動き
- 今週のビットコインは1月8日の637万円から取引が始まりました。相場は週始めから強い展開となり、火曜日には678万円まで上昇しました。週中に入っても底堅い動きは変わらず、押し目は買われる動きが見られました。これまで相場の注目材料だった現物ETFが水曜日の明朝に承認され、木曜日の夜から取引が開始されました。ETFの取引開始直後からビットコインは買われ、一時710万円台まで上昇しました。昨年からの高値を更新した形となりました。一方、金曜日の明け方には売られる動きもあり移動平均線を下回り、現在は668万円で推移しています。今週はETFの影響からか相場は日本時間に弱い動きとなり、アメリカ時間に買われる傾向が見られました。本日もアメリカ時間に反発があるか注目です。
今週のデリバティブ市場
1.無期限先物取引の資金調達率
ビットコインの資金調達率(FR)は、足元でプラスで推移しています。現在は0.01%近辺で推移しています。先週のFRは0.08%近くまで上昇する場面がありましたが、今週はこれに比べると相場の過熱感は減退しています。現物ETF承認前の期待感からロングポジションが多い状態でしたが、ETF承認が決まったことで現在はロングポジションの割合は低下しています。
2.ロング・ショート清算
- 今週のロングポジションとショートポジションの清算推移は、ショートポジションで大きな清算がありました。1月8日の1時間足で3500万ドルのショートが狩られ、清算額としては2ヶ月ぶりの高さとなりました。今週は目立ったロングの清算はありませんでしたが、先週は8000万ドルの清算が発生しています。ここ数週間はETF承認の可否をめぐり、相場は大きく動き清算も出やすい状況となっていました。
3.先物価格乖離(3ヶ月)
- 3ヶ月先の先物価格と現物価格の乖離率は縮小傾向にあります。1月1日には20%を越え、かなり強気に偏ったポジションが取られていましたが、現在の乖離率は11%程度まで下落しています。無期限先物同様にETFを材料に先物取引が買われていましたが、イベントが終了したことで買いポジションを閉じる動きが見られます。投機的なロングポジションが解消されたことで、数時間で10%ほど下落した先週のような急落が起こる可能性は下がりました。
今週のオンチェーン・データ
1.取引所保有のBTC推移
- 取引所が保有するBTCの数量は足元で上昇傾向となっています。現物ETFの承認タイミングで同指標が上昇している場面もあり、イベント終了後の利確売りを狙ったものと考えられます。今後も取引所保有BTCが上昇するようなら短期的な上値が重くなる可能性があり警戒です。
2.含み益アドレス割合
- ビットコインアドレスで含み益が出ている割合の推移は、相場が好調な影響から現在90%台で推移しています。ほとんどの投資家のアドレスで利益が出ている状態となっています。ビットコインが強い上昇トレンドに突入する際は95%を超えた状態で高止まりします。現在の相場もかなり強気相場にあることを示しています。21年11月の史上最高値から約2年間の調整期間を終え、半減期が近づくとともに投資家の利益は増加傾向にあります。
まとめ
- 今週のビットコインは終始底堅い動きとなりました。現在は移動平均線の下位で推移していますが、買いが優勢な相場となっており来週以降も価格の上昇に期待が持てる状態です。デリバティブ市場ではETFを材料に短期的な投機的な動きがありましたが、イベントを越えたことでデリバティブ市場では過度なロングポジションの偏りは解消されました。来週以降は投機的なロングポジションが解消されたことから上値が軽くなるでしょう。一方、取引所保有BTCは上昇傾向にあり、今後も注視が必要です。