ビットコインの最近の送金事情はどうなっている?

ビットコインと言えば24時間365日いつでも送金できるという機能が魅力の一つだ。では最近の送金事情はどうなっているのだろうか?
最新のニュースでは、今年2月のビットコインのマイナー報酬が2017年の最高値を更新した。仮想通貨メディアThe Blockによると、2月のマイナー報酬は13.6億ドルを記録した。内訳は、1.8億ドルがユーザーからの送金手数料で、残りはブロックを掘った際に得られるブロック報酬だ。

マイナーへの報酬が最高値を更新した大きな要因は、やはりビットコインの価格自体が上がっていることだ。ブロック報酬は2017年から半減しており現在は6.25BTCだが、それ以上に価格の値上がりが大きくなっている。
一方、ユーザーが支払う手数料だけを見れば2017年より若干少ない。2017年から価格は大きく伸びているが、ユーザーはビットコインを送金のツールとしてはあまり利用していないようだ。

上記のチャートは、Johoe's Bitcoin Mempool Statisticsの未承認取引の手数料(BTC)を表しているが 、2017〜2018年と比べ現在2021年は黄色や赤い部分が少ないことがわかる。現在ユーザーは手数料を以前より支払っていない。
ビットコインの価格が上昇したことで送金手数料も上がり、早急な送金や少額送金に利用される頻度が減っていると推測される。ビットコインの最小単位である1satoshi(1円以下)を支払い送金することも可能だが、ブロックに取り込まれるまで日数が相当かかってしまう。

上記チャートを見ると、ここ1ヶ月間以上1satoshiはブロックに取り込まれていない。現在のブロック状況を見ると、送金には最低でも10satoshiは必要だ。それでも数日から最大で2週間ほどブロックに取り込まれるまでかかる。
自身が保有するハードウェアウォレットからであれば自由に送金手数料を設定することが可能だが、取引所から送金する場合は、それぞれの取引所が設定する送金手数料を支払わなければならない。
筆者は取引所からビットコインを他のウォレットへ送金することがあまりないが、今年に入りある取引所から送金した際は0.005BTCを支払った。現在の価格で換算すると約2500円ほどになる。
取引所から送金する際、送金頻度が高いユーザーや1万円以下の送金を行うにはやや手数料に割高感が出る。この割高感がビットコインの送金手数料が伸びていない要因としてあると考えられる。
ではビットコイン以外のコインで送金に適したコインは?
早急な送金や少額送金に難点を抱えるビットコインの他の選択肢となりそうなのは、リップルやステラのような特定のバリデーターが承認作業を行うコインだろう。これらのコインは、国内外の多くの取引所で取り扱っており送金に便利だ。さらにビットコインのブロックチェーンより承認作業も早いため着金までの時間が短い。
その他のオプションとして、最近利用される頻度が特に高くなっているのがステーブルコインと呼ばれる法定通貨にペッグしたコインだ。ドルにペッグしたテザー(USDT)の利用量は2017年と比べて大幅に伸びている。

上記のデータによると、ブロックチェーン上のステーブルコインを使った送金額はここ数ヶ月間で飛躍的に伸びている。USDTの2021年2月の送金額は2000億ドルを超えている。
ステーブルコインは価格が安定しているため、送金時の価格変動を気にすることなく利用することができる。比較的、着金までの時間も短いため送金に適している。

Blockchain.comのデータによると、2021年2月のビットコインの送金額は約200億ドルほどだった。USDTの送金額の10分の1程度だ。
最近では、ビットコインに加えイーサリアムのネットワークも混雑しており、送金手数料が高騰している。このような状況から、送金ツールとしてのステーブルコインの需要は増加している。市場の拡大とともに、今後もステーブルコインの需要は安定して伸びることが予想される。
参考記事
https://www.theblockcrypto.com/data/decentralized-finance/stablecoins