ビットコインって何を目安に買ったらいいの?下落サイクルから安値指標を読む

機関投資家が本格的に市場に参入した2021年
ビットコインは暗号資産(仮想通貨)市場が日本でも盛り上がった2017年頃から一般的に浸透するようになった。イーサリアムなどのプラットフォーム型のブロックチェーン上で発行されICOなどが盛り上がったことがきっかけで投機熱が一気に加速し新規層が市場に大量流入した。それまで投資を一切したことがない人でも少ない資金を元手に稼ぐチャンスが生まれたことが一般に広がった主な要因だ。
時は流れ2021年、今年ビットコインは779万円を突破したが筆者の肌感として2017年ほどの熱狂は個人投資家からは感じられない。一方で10月にはビットコインの先物取引をベースにしたETFが登場するなど機関投資家はこぞってビットコインを買いに走っている。
大口からの資金が流入したことで時価総額は上昇したが変動率を表すボラティリティ(ATRインジケーター)は減少傾向にある。

上記の月足チャートを見てわかるようにビットコインの変動率は時が経つに連れ減少している。元手資金が少ない個人投資家にとっては、今より過去の方がオイシイ相場だったのは事実だろう。しかし長期的に価格が上昇しているのも事実だ。
価格が高値を更新しているということは、ビットコインの歴史上どの時点で買っていても長期保有していれば利益が出ていることを意味している。これは高値を更新し続けるアメリカ株価指数のS&P500などにも当てはまる。我が国の代表的な株価指数の日経平均は1990年代のバブル崩壊後に高値を更新できていないため残念ながら当てはまらない。
ビットコインはいつ買っても長期的に保有していれば儲かっているわけだが、一般的な個人投資家としては短期で儲かる方法が知りたいはず。そこで今回は特別に短期的な買い場の目安となるエントリーポイントを紹介する。
低い流動性が時に大きな下落を引き起こす
ビットコインは長期的に上がっているとはいえ、短期的に売られすぎることがある。ビットコインの市場は世界中に分散しており流動性が株価指数などと比べて比較的に低いことが要因とされている。ビットコインの取引は世界中どこでも行うことができ取引所が世界各地に散らばっていることも流動性が低い要因になっている。
長期的には価格が上昇しているが、低い流動性のおかげで短期的に大きく下落する場面が年に1,2回は発生する。短期的に大きく下落したり売られすぎたポイントが買い場となる。
ビットコインの下落サイクル
ビットコインには明確な下落トレンドのサイクルがあり、多くの下落トレンドは3〜4ヶ月間以内、長くても半年程度しか続かない傾向がある。また近年では変動率が減少傾向にある為、高値から約-50%の下落が下げ余地の限界となっている。
過去のチャートから弱気トレンドの安値付近となった例を挙げていくと以下のようになる。
最初の大きな下落トレンドは2013年4月の高値2.57万円を付けた後、同年7月までに6375円を記録し最大の下落率は約75%だった。
2回目の下落トレンドは2013年11月の高値11.9万円を付けた後、2014年2月に4.0万円まで下げ下落率は約65%を記録。当時はマウントゴックスのハッキング事件が発生したことも重なり、相場は明確な天井を打った時期でもあった。
3回目の下落トレンドは、日本でも仮想通貨が盛り上がった2017年に発生した。この時は2017年12月の高値240万円から2018年2月までに約-65%下落した。安値は65万円を記録し、短期的な投機熱が一気に弾けたことが話題となった時期だった。
4回目の大きな下落トレンドは2019年6月頃に発生した。この時は大きな買い材料がなく7ヶ月間かけてゆっくり安値を付けた。6月の高値149.9万円から12月の安値70.5万円まで約-50%の下落を記録した。
5回目の下落トレンドはコロナ相場となった2020年2月から2020年3月に発生した。株式市場が大幅に下落したことが影響しビットコインも強く売られた。しかし世界各国の中央銀行が早急に大規模金融緩和政策に踏み切ったことで安値からの反転も早かった。この下落トレンドでは2月の高値115.0万円から3月の安値46.5万円まで約-60%も一気に下落した。
最近の下落トレンドは2021年4月に発生している。今年はビットコインが最高値を更新したことで短期の投機的な動きが再度加熱した。投機相場の反動で4月の高値705.5万円から6月の安値319.5万円まで約-55%下落した。

今回紹介した例は、短期的な安値目安としてのビットコイン価格となる。ビットコイン相場では大きな下落の後はさらに大きな上昇が始まっているため、現物の購入ポイントとしては絶好の買い場となった。
下落トレンドは月足が陰線を記録してから3ヶ月〜4ヶ月で底打ちする傾向があり、最近では高値から-50%〜-60%が最安値圏となる。
冒頭でも指摘したように機関投資家が市場に参加したビットコインは、米国株式指数と同様に長期的に保有できる資産となった。ビットコイン界隈には「Staking Sats」という言葉があり、ビットコインを定期購入及び少額投資を行おうという文化がある。
ビットコイン投資を始めようとする個人投資家には今回紹介した例を参考することで投資の助けになるだろう。短期的なレバレッジをかける取引においても普段より大きなサイズのロングポジションを持つ目安になるのではないだろうか。