ビットコイン週足は続伸 米政府の追加BTC購入に期待感

17日〜23日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比57万498円(4.64%)高の1237万8498円と続伸した。
米露首脳による電話会談による地政学的リスク後退への期待感から先週のBTC円は底堅い推移で取引が始まったが、ドル建てBTC相場が200日線の上抜けに失敗すると、18日は失速した。また、この日は米連邦公開市場委員会(FOMC)を翌日に控え、ポジション調整の売りが相場の重石になると、1210万円台まで水準を落とした。
一方、米露首脳電話会談で、ロシアがウクライナのエネルギー施設への攻撃を30日間停止することで合意すると、19日東京時間からはジリ高に推移し1250万円を回復した。更に、FOMCでは年内の利下げ回数見通しが維持された他、国債償還による量的引き締め(QT)ペースが従来の5分の1に調整されたことで、相場は一時1300万円にタッチした。
しかし、その後は再び上値を重くすると、21日米国時間に開催された米暗号資産(仮想通貨)サミットで目星い材料がでなかったことで、失望感から相場は1250万円周辺まで反落。幸い、この日はトランプ米大統領が、4月2日から発動される予定の相互関税において対象国に関して「柔軟性」を設けると発言したことで、その後は米株の上昇に支えられた。
週末には、ホワイトハウス高官のロバート・ハインズ氏が、米政府が金の含み益でBTCを購入することが予算的に中立であれば(納税者に負担がかからなければ)、検討する余地があると発言したことで、23日米国時間から相場は上昇し、今朝方には再び1300万円周辺まで戻した。

FOMCでは2会合連続で政策金利の据え置きが決定されたが、市場は織り込み済みだった。注目だった四半期次の経済見通し(Summary of Economic Projections、SEP)では、GDP成長率が+2.1%から+1.7%と大幅に引き下げられたが、景気の縮小は示されなかった。また、個人消費支出(PCE)の見通しは引き上げられたものの、年末時点の政策金利の着地は3.75%〜4%と昨年12月の予想から変わらず、年内の利下げ継続が示された。更に、会合後の記者会見でパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は、トランプ関税が足元の物価上昇に明らかに寄与しているとしつつも、長期インフレ期待が安定していることから物価上昇率は目標の+2%に近づくとの見解を示した。
ただ、FOMC声明では「経済の見通しに対する不確実性は増した」という文言が追加され、トランプ関税の影響への懸念が示されている。
そんなトランプ関税だが、4月2日から発動される予定の相互関税は「一斉射撃」ではなく、一部の国や地域、また既に関税が賦課されているセクターが除外される可能性が浮上している。勿論、トランプ氏は予想外の動きを見せることもあり、依然として安心しきれないが、週明けは貿易摩擦懸念が和らぐ可能性もあるか。
また、先週の地政学的リスク後退、FOMC通過、トランプ氏の姿勢軟化を受けてか、米国の現物ビットコインETFからの資金流出には歯止めが掛かっており、直近6営業日連続で資金の純流入を記録している(第2図)。ETFからの資金流出は2月から相場の上値圧迫材料になっていたと指摘されるため、純流入が続けば相場の地合いも改善するだろう。

トランプ関税が依然としてワイルドカードと言えるが、FRBによるQTペース減速と利下げ継続の可能性、ETFへの資金流入、更には米政府によるBTC追加購入の思惑などで、今週のBTC相場は引き続き戻りを試す展開となるか。先週も指摘の通り、8万9000ドル(≒1333万円)の上抜けに成功すれば、9万3000ドル(≒1393万円)周辺まで相場が走りやすいと指摘される。



