下げ止まったビットコイン 関税でインフレは加速しない?

10日〜16日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比37万8000円(3.17%)高の1230万8000円と7週ぶりに反発した。
先週はトランプ関税による米国の景気後退懸念が燻りつつも、BTCは売り過熱感や米インフレ指標の伸び減速で底堅い推移が続いた。14日は、ロシアのプーチン大統領がウクライナの停戦合意に一定の支持を示したことも材料視され、相場は1190万円台から徐々に戻りを試すと、米国株相場の反発も支援となり、一時は1270万円近辺まで上昇した。
一方、ボラティリティの落ち着きやすい週末には1250万円台で小幅な揉み合いに転じると、16日には一部ミームコイン相場の下落に連れてBTCはやや弱含みに推移。ただ、シカゴマーカンタイル取引所(CME)のBTC先物が上窓を開けて今週の取引を始めると、相場は下げ止まり、足元では若干の買い戻しが入っている。

今週は18日から19日に米連邦準備理事会(FRB)が開く連邦公開市場委員会(FOMC)が目玉材料となる。今月のFOMCでは経済見通しが更新され、通常であれば会合参加者の金利見通しに当たるドットプロットが最も重要視されるが、今回はトランプ関税による景気の影響からGDP成長率の見通しも重要項目と言えるだろう。
市場としては、FRBが景気後退を回避しつつ年内に2回以上の利下げを行うという明確なシグナルが欲しいところだが、インフレの減速が確認されたのは各物価指標の直近1カ月分のみであり、具体的な利下げ時期などの議論はあまり期待できないと言える。
尤も、パウエル議長が7日に発言していたように、トランプ関税は消費行動を抑制することから、結果としてFRBが利下げを迫られる可能性もある。実際、第一次トランプ政権中では、2018年の関税発動後、およそ半年で小売売上高は頭打ちとなり、CPIは急低下、翌2019年後半からは3度の利下げが実施されており、「関税でインフレが加速する」という通説とは真逆のシナリオとなっていた(第2図)。
勿論、トランプ関税による経済全体への影響を見極めるにはもう少し観測期間が必要と言えるが、第一次トランプ政権中の消費と物価動向に鑑みれば、最低でも12月の経済見通しよりも年内の利下げ予想回数(2回)が減ることはないとみている。そういった意味でも、やはり今回のFOMCではGDP成長率の見通しがどれだけ引き下げられるかが注目されると言え、GDPがプラス成長を維持できればリスクオン、マイナス成長が予想されればリスクオフとなるだろう。

BTCドルは先週、一時7万7000ドルを割り込む場面もあったが、これによって11月にCMEで発生した窓を閉め切り反発した格好だ。この際、およそ7万9000ドル〜8万ドルの間ではオンチェーン上で多くの取引が確認され、強い押し目買い需要が示された(第3図)。ただ、予てから指摘の通り、この価格帯より下では約7万ドルまで極端に出来高が薄い真空地帯がある。
真空地帯では相場が一方向に走りやすい傾向があることから、次相場が7万9000ドルを割り込めば、7万ドル周辺まで一気に急落する可能性もあるため、7万9000ドルは重要なサポート水準としてみておきたい。反対に、上方向では8万9000ドル(第3図内①)や9万3000ドル近辺(第3図内②)までは出来高が少なく、相場が足元の水準から続伸できれば、これらの水準が目先の上値目途となりそうだ。




