BTC上値トライ失敗 インフレ先行き見極めるムードも

7月の米消費者物価指数(CPI)発表を前に警戒感から307万円近辺まで下落していたビットコイン(BTC)の対円相場だったが、結果はヘッドラインとコア指数の双方が前月から低下となり、米連邦準備制度理事会(FRB)の積極的な利上げ姿勢が緩和される余地が生まれ、相場は反転し318万円を回復した。11日東京時間も買い優勢となり、相場は24,000ドル水準となる319万円の上抜けに成功。さらに、米時間の朝に発表された、7月米卸売物価指数(PPI)が市場予想を上回る下げとなり、BTCは25,000ドル水準の332万円を試した。しかし、インフレが沈静化し始めた一方、どれだけ抑制できるかには不透明感が残ったからか、米長期金利は上昇しBTCは25,000ドルトライに失敗。終値までジリジリと上げ幅を縮小し、最終的にはほぼ変わらずだった。


CPI発表後にサンフランシスコ連銀のデイリー総裁もインフレに対する勝利宣言は時期尚早と発言しており、市場からはインフレの行き先を見極めるムードが伺える。BTC相場が上値抵抗帯を試し始めた8日からマイナーの換金売り目的と見られるBTC送金も増えており、PPIを通過し材料が出尽くしたタイミングが利食いの機会となったか。ただ、インフレ沈静化が継続しないと決まった訳ではなく、目先では利上げサイクル転換を見込んだ一定の買いも期待されよう。今夜はミシガン大学消費者調査の速報発表が予定されており、消費者物価見通しに注目したい。また、来週は住宅関連の指標が目白押しとなっており、価格や需要の低下が確認されれば相場に追い風になると見ている。


