トレンドライン上抜けのビットコイン 強気のチャートパターンを形成か

先週(9月27日〜10月3日)のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比564,961円(11.81%)高の5,347,448円と反発し、前週の下げ幅を完全に奪回。日足では、9月7日高値と18日高値を結んだ下降トレンドラインの上抜けに成功している。
米国の債務上限問題を巡り週明けから上値を重くしたBTCだったが、米証券取引委員会(SEC)のゲンスラー委員長が、CMEのBTC先物ベースの上場投資信託(ETF)を支持する発言をしたことや、BITFINEXとTetherに対する集団訴訟の一部申し立てが棄却されたことを切っ掛けに、週央からの相場は41,000ドル(≒455.2万円)周辺で下げ止まり反発し43,000ドル(≒477.2万円)を回復。さらに、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が日本時間30日に開かれた議会証言の中で、「暗号資産(仮想通貨)を禁止する意向はない」と発言すると、翌日の海外時間から相場は上値を追う展開となり、上述の下降トレンドラインの明確な上抜けに成功。この日はISM製造業景況指数の上振れもポジティブサプライズとなり、米時間には48,000ドル(≒534.7万円)に乗せた。
その後は、coinbaseへの不正アクセスや米国におけるステーブルコイン規制強化の可能性が浮上するも、週末は48,000ドルを挟み込み上値が重くも底堅い展開を維持した。

BTCの対円相場は、9月上旬から続いた下降トレンドからの脱却に成功したと言える。中国恒大や米債務上限問題などの懸念材料が残る中ではあるが、これによりトレンドフォローの買い支えも入りやすいと言えよう。また、相場は逆三尊のトレンド継続パターン形成も指摘され、一度押し目をつけてからもう一段となる展開も視野に入る。この場合、上値の目途は9月7日高値580万円周辺となる。
さて、今週は米国の雇用統計が発表される週となる。9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で11月のテーパリングアナウンスが濃厚となったが、直近3週間ほどの米新規失業保険申請件数は悪化傾向にあり、2ヶ月連続で非農業部門雇用者数の増加が減速する可能性も捨てられない。万が一、9月分の雇用統計が下振れとなれば、11月のテーパリング時期決定が後ろ倒しになるという期待感がBTC相場の支えとなろう。
6日にはADPの雇用レポートもあり、週央からは雇用統計を意識して慎重な値動きとなりやすいだろう。テクニカル的にはセンチメントの改善が指摘されるが、上述の通り債務上限問題もブレイクスルーを見いだせないままとなっているため、今週はヘッドラインへの目配りも怠れない。
押し目を形成する場合、先週までの安値圏レンジの上限や200日移動平均線(494万円)が走る500万円周辺まで下げてもおかしくなさそうだ。





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bitbank Report 2021/10/04:トレンドライン上抜けのビットコイン 強気のチャートパターンを形成か