FOMC前に様子見のビットコイン 今夜の注目ポイントをおさらい

15日のビットコイン(BTC)対円相場は34,866円(0.78%)安の4,430,002円と小幅反落。この日の相場は、市場が明日未明に発表される米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を待つ中、長期トレンドとして意識される200日移動平均線(458万円)を目前に底堅いが上値も重い展開となり、概ね444万円を挟み込む推移に終始した。米時間には、ナスダック上場のコインベースが機関投資家向けのプラットフォームで新規アルトコインを複数上場すると発表したことでコインベース効果が発生し、時間差でビットコインも上昇し一時的に450万円台に乗せたが、米民主党議員からなる暗号資産(仮想通貨)と中央銀行デジタル通貨(CBDC)の規制に焦点を当てたワーキンググループが設立されたとの報道が嫌気されたか、相場はすぐに元の踊り場に押し返され、足元、440台前半で取引されている。対ドルでは、心理的節目の40,000ドルを終値で死守した。

ビットコインの対円相場は、およそ1ヶ月ぶりの4時間足200本移動平均線上抜けや、日足ボリンジャーバンド2σの上抜けにより、テクニカル的なセンチメントの改善が指摘される一方で、FOMCという目玉イベントを前に様子見ムードが広がり出来高が細っている。
今回のFOMCは経済見通し(Economic Projection)の発表が一つの注目点となっており、前回3月では見通しの大きな引き上げがあった一方で政策の長期化が示唆されたことでビットコインにも追い風となった。今回の経済見通しでは、①23年の利上げ(予想中央値引き上げ)と22年の利上げ予想者増加があるか、②個人消費支出(PCE)予想が据え置き或いは引き下げがとなるか、③国内総生産(GDP)予想の引き上げがあるかに注目している。
①に関しては、23年の予想政策金利中央値は、残り3人のFOMC参加者が利上げを予想すれば引き上がる水準であることが3月のドットプロットで明らかになっていた。また、FOMC参加者はこれまで「インフレは一時的」という姿勢を崩しておらず、仮に22年と23年のPCE予想を引き下げとすれば、当局者が早期の政策正常化を念頭に入れていることとなる。よって、上記の点において①と②はリスクアセット全般には向かい風となる結果が危惧される。
一方、米国でのコロナワクチン接種の進行により、3ヶ月前と比較すると経済活動が再会し、見通しに対する不確実性も当時と比較して後退していることに鑑みれば、GDP予想が引き上がる余地も僅かながらありそうだ。仮に①と②に大きな変化がなくGDP予想がさらに引き上げとなれば、可能性としては低いがポジティブサプライズとなろう。
ただ、市場の関心は経済見通しだけでなくテーパリング開始時期を巡る議論にもある。予て指摘の通り、8月のジャクソンホールに向けてそろそろ地ならしを始めても良い頃合いと言えるため、普段通りFOMC声明とパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の定例記者会見(17日午前3時30分〜)にも注目だ。
全体としてはリスクアセットにとってポジティブな結果を見込める内容は少ないと言えるが、こうした警戒感はすでに織り込んでいると指摘さる。注目点が多いだけに警戒されている訳だが、結果がネガティブだとしてもビットコインは直近一月程のレンジを維持すると見ている。





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bitbank Report 2021/06/16:FOMC前に様子見のビットコイン 今夜の注目ポイントをおさらい