レンジ上限を試すビットコイン 今週こそ方向感示せるか

先週(1日〜7日)のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比693,247円(14.38%)高の5,514,488円と反発し、節目の500万円を回復。対ドルでも心理的節目の50,000ドルを二週間ぶり奪回した。
先週のBTC相場は、週末2月27日の米追加経済対策案の下院通過により、週明けから米経済回復期待に伴うリスクオンムードの恩恵を受け、480万円から一段高で530万円に戻した。週央までこの流れが続き、3日にはレンジ上限を試す展開となるも、この日のADP雇用統計が前月比で伸びが鈍化する結果となると、経済回復期待や雇用拡大によるインフレ進行観測が後退し急反落。さらに、翌4日にパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が長期金利上昇に対して静観スタンスを示したことも相場の重石となり、BTC相場は一時510万円まで値を下げた。
一方、5日に発表された米労働省の雇用統計では、非農業部門雇用者数の増加が市場予想の18.2万人の倍以上の37.9万人となり、相場は反発。週末には米追加経済対策案の上院通過、加えて今朝方のサウジアラビア石油施設に対する攻撃という地政学リスクに反応し、相場は再びレンジ上限を試す展開となっている(第2図)。


今週のBTC対円相場はレンジ上限(554.5万円)上抜けで一段高の展開が視野に入る。先週はADP雇用統計で出鼻を挫かれる展開となったが、労働省発表の雇用統計の上振れと、9日にも可決される見通しの米追加経済対策によりリスク選好度の改善が見込まれる。今週10日には、米消費者物価指数(CPI)の発表(午後10時30分)も控えており、インフレ進行のサインが出ればBTCに追い風となるか。
チャート上では、BTC対円相場は先週末にかけてとさほど変わらず、短期的に方向感に欠ける展開が続いている。相場は、中期の34日移動平均線に支えられ、ボリンジャーバンドのセンターライン回復も果たした一方で、一目均衡表では均衡表が逆転(転換線が基準線でデッドクロス)しており、早期の売りシグナルが一つ点灯している状態。ただ、相場が3日の高値(562.7万円)を更新し、5日安値(501万円)を守れば、向こう2日間で三役好転を再び示現する見通しで、値固め局面からの脱出も視野に入る。
目先の上値目途としては、節目54,000ドル水準の585万円、その上には節目600万円とボリンジャー2σ(≒605万円)がある。反落の場合、34日線の走る507万円周辺や、先月23日安値の471万円が下値目途としてある。




