リスク選好度回復でBTCに買い 守られたチャートの鉄則は続くか?

10月第2週のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比74,117円(6.58%)高の1,200,956円と3週ぶりに反発し、終値で節目の120万円を回復(第2図)。日足では、7日から5日続伸しており、チャート上では保ち合いの上放れに成功した(第3図)。
先週は、トランプ大統領が経済対策案の協議を巡り、自身が選挙で勝利すれば迅速に大規模な刺激策を通過させることを引き合いに現時点での協議停止を指示したと発表したことで、6日の相場は米株式市場のリスクオフに連れて下げ足を速めたが、トランプ氏がその直後に態度を一変させ包括的な経済対策案の合意を促したことで、BTC相場も下げ止まった。ペロシ民主党下院議長とムニューシン財務長官の協議はその後も続き、9日時点で進展は見られなかったものの、トランプ氏の態度軟化で市場のリスク選好は回復していった。
加えて、8日NY時間にはツイッターのジャック・ドーシー氏率いる米電子決済のスクエア社が、5,000万ドル相当のBTCを購入したとの発表が転がり込み、マイクロストラテジー社に続き米上場企業によるBTC購入が好感され、BTC相場の上昇に拍車をかけた。



8日時点ではテクニカル的に今一つモメンタムが感じられないと指摘したが、相場は10日まで上値を追う展開を繰り広げ、結果的にチャートの鉄則とも言われる「保ち合い放れにはつけ」が正しかった。しかしながら、ビットバンクのみならず、バイナンスやコインベースといった海外主要取引所でも出来高に増加傾向が見られないのは気がかりだ。
先週の週明け時点と比較して、相場は短中長期の移動平均線を回復、一目均衡表の三役好転を示現、ボリンジャーバンドの2σの上抜けにバンド幅拡大が伴っており、「やや強気→強気」になったと判断できるが、基本的に相場のブレイクアウトの確度が高いか否かは出来高の増加で確かめられ、出来高の増加を伴わないブレイクアウトは騙しとなる可能性もある(第4図)。
今週は14日から15日にかけてリップル社主催のSWELLが開催される予定だが、パターン化しつつある「SWELL下げ」を見越して売りのタイミングを待ち構えているのか、15日に迫る英国が提示したブレグジット交渉期限を睨んでユーロの方向感を見極めているのか、今週週央からはトレンド指標に従って一筋縄に相場が上昇するかに疑問が残る。






PDFリンク
bitbank Report 2020/10/12:リスク選好度回復でBTC買い 守られたチャートの鉄則は続くか?