9000ドル巡り正念場 売り余力限定的と考える理由

7月第3週のビットコイン(BTC)対円相場の終値は8130円(0.82%)安の987,275円と小幅反落。ボラティリティーの低下が手控えムードを誘う中、先週の相場も狭いレンジで動意に欠ける展開が続いた。BTCのボリンジャーバンドウィズは0.04、10日物ヒストリカルボラティリティー(HV)は10%を割り込み、相場のボラは年に一度に有るか無いかの低水準にまで落ち込んだ(第2図)。16日朝方にはツイッターへのハッキングでビットコイン詐欺が広がり、海外暗号資産(仮想通貨)関連アカウントも影響を受けたことが発覚。BTCには一時的に売材料となったが、相場は節目の9,000ドル(≒97万円)で反発し週末にかけては9,200ドル(≒98.5万円)をトライし、週足終値は同水準をわずかに上回った。


ボラティリティーの低下から相場がもうじき大きく動き出すことが示唆されるが、相も変わらず決定的な材料に欠ける状況が続いており、ツイッター騒動を受けても押し目買いが入り相場は底堅い。テクニカルでは、足元、終値ベースで89日移動平均線をギリギリで死守、一目均衡表三役逆転も目前で回避しており、長期的且つ強い弱気シグナルが点灯するか否かの瀬戸際かと指摘される(第4図)。
しかし、こうした中でもネットワークのファンダメンタルズは改善傾向にあり、ハッシュレートは高い水準を維持している。また、シカゴマーケンタイル取引所(CME)のBTC先物ファンド勢ネットポジションは前週まで大きくショートに振れていたが、14日時点ではショートが縮小しロングが積み増しとなり、ネットポジションは-2,469から-1,887となった(第3図)。BTCの現物相場が揉み合いの際にネットポジション がフラット圏で推移していると、その先は現物相場が下落することがあったが、直近1月ほどで既にネットポジションはショートに振れており、売り余力は限定的かと指摘され、現物相場の下値も限定的か。節目の9,000ドルを巡りBTCは正念場を迎えているが、今週こそ保合い上放れとなるか。











