BTCは第二四半期アノマリー示現 第三四半期は外部環境を味方にできるか
6月のビットコイン(BTC)対円相場は前月比29,393円安(- 2.89%)の988,711円(第1表)。この月は相場が対ドルで10,000ドル水準に浮上する度にマイナーや鯨のBTC送金が相場に冷や水を浴びせ、上値を抑える材料となった。加えて、6月の米指標改善が見られると逃避資金流入の観測も後退、17日にはマイニング難易度を示すディフィカルティーが約15%と大幅に上昇し、実需筋の売りへの警戒感も一層強まり、一月を通して概ね上値の重い展開が続いた。しかし、決定的な売材料にも欠ける中、一定の底堅さも確認され、出来高は細り、ヒストリカルボラティリティー(HV)は低下し、足元では手控えムードが漂っている(第1図)。今朝方にはディフィカルティーの調整もあったが、ハッシュレートがほぼ横ばいで推移した今サイクルの調整率はゼロ%(btc.com調べ)となった(第2図)。
四半期ベースでは、BTCは42.98%高くなり、S&P 500種(+ 19.95%)と金(+ 13.16%)のパフォーマンスを凌ぎ、市場でコロナ禍からの経済回復期待と第2波への懸念が渦巻く中で結果的に高いパフォーマンスを記録し、「第二四半期は上昇しやすい」というアノマリーを示現した。5月の半減期以降、ハッシュレートは頭打ちとなりBTC相場の上げ足も失速しているが、ハッシュレートの13日移動平均線は55日線でゴールデンクロスを維持している。また、3月の相場暴落に出来高の増加と短期物のHVが急上昇した事に鑑みれば、売りは一定出尽くし相場が底入れした公算は高く、足元の薄商いとHVの低下は値固めのサインと考えられる。6月に実需筋の利食いが複数回確認されても売りが続かなかった背景としては、市場でこうした先高観が根強いためか。
過去の第三四半期のBTCパフォーマンスはまちまちとなっているが、中国の国家安全法可決による米中の溝の深まりや、コロナ第2波への懸念、さらには米連邦準備制度理事会(FRB)がイールドカーブコントロールを導入するという観測も強まっており、BTCにとって外部環境は味方となるか。本日から2日にかけてはADP雇用統計、FOMC議事録公表、米労働省発表の雇用統計など重要指標を立て続けに控えており、そろそろボラティリティーが戻ってくるか注目だ。
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bitbank Report 2020/07/01:BTCは第二四半期アノマリー示現 第三四半期は外部環境を味方にできるか