株に連れ安のBTC 下降トレンド入りしてないと考える理由

11日のビットコイン(BTC)対円相場終値は65,687円安(- 6.21%)の992,363円と強く押し、心理的節目の100万円を15日ぶりに心理的節目の100万円を割り込んだ。米消費者物価指数(CPI)の悪化や米連邦準備制度理事会(FRB)のゼロ政策金利の2022年末までの継続見通し発表を手掛かりに、10日のBTC対ドルは今月2度目の10,000ドル(≒107万円)をトライしたが、同水準での執拗な戻り売りに苛まれブレイクに失敗。この日は、米コインベースのアルトコイン18種上場予定発表を契機にコインベース効果が生まれ、一部アルトコイン相場のムード好転していたことから、BTCは107万円トライ失敗後も105万円台で底堅く推移したが、翌11日に1,400億円相当のBTC送金が検知されたことが報じられると、警戒感が広がり東京時間に相場は104万円台後半まで押した。その後は、NY市場で主要3指数が軒並み急落したのを眺め足の速いマネーが引き上げられると、ロングの投げが入り100万円を割り込んだ。
10日のパウエル FRB議長の声明を受け、米経済V字回復の観測が後退したのに加え、カリフォルニアなどの米主要都市で新型コロナウイルス感染拡大第2波の懸念が浮上し、昨日の米主要3指数は5%以上下落し、ダウ工業株30種は一時1,861ドル安を記録した。逃避需要によりBTC相場は支えられてもおかしくない状況ではあるが、昨日のような株価急落が起きるとリスクオフ波及懸念から一時的に売られやすくなるのも、これまでのBTC相場の習性通りだ。コロナショックの第1派でもBTCは一時的に株価に連れ安となったが、底入れは株価よりも早かった。ゼロ金利政策の長期化、雇用市場底打ち観測の後退、コロナ第2波懸念諸々、中長期的にはBTCに追い風と考える。
加えて、BTCのヒストリカルボラティリティー(HV)は昨日の下落を持ってしても下降トレンド入りを示唆していないと見ている。今年3月12日の相場暴落時は例外だが、トレンドが始まる際は10日物や30日物のHVが上昇する傾向があったが、足元のHVは低下傾向が見られ、依然、次のトレンドに向けてエネルギーをためている段階と言えよう(第1図)。ボラティリティーの指標ともなるボリンジャーバンドもスクイーズ状態が続いており、トレンドの方向は示されていない(第2図)。












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bitbank Report 2020/06/12:株に連れ安のBTC 下降トレンド入りしてないと考える理由