BTCは3週続落で1600万円割れ 雇用統計まで軟調地合い続くか

8月25日〜8月31日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比79万0588円(-4.72%)安の1594万4680円と3週続落し、7月の上げ幅をさらに縮小した。
週央にかけてクジラによるBTC売り懸念の下げ幅を取り戻したBTC円だったが、週後半からは軟調地合いに転じると、29日にはバイナンスで一部のシステム障害による先物取引停止を受けて、1650万円周辺から1620万円近辺まで下落した。この日発表された7月の米個人消費支出(PCE)デフレーターは市場予想と合致し、BTCは一時反発したが、米国株市場ではAI用のサーバー製造コスト競争の激化がAI関連銘柄の重石となり、BTCも連れて1600万円周辺まで下落した。
週末の相場は1600万円周辺で小動きに終始した。

米PCEの上振れサプライズを回避したことで、FF金利市場が織り込む9月の利下げの確率は84%から87.6%に上昇したが、米国株相場の軟化によってBTCは反発に失敗した格好だ。先週はエヌビディアが好決算を発表したが、株価は事実売り気味に売られ、サーバー製造のコスト競争激化によって29日の米国株相場は全体的に弱地合いとなっており、今年の米国株相場のラリーがいかにAI関連銘柄によって支えられているかが窺える一日となった。
先週は28日まで米国の現物ビットコインETFに資金の純流入が確認されたが、週末の米国株相場の下落を受けて、29日には1.26億ドル(≒185億円)が流出しており、ETFフローは不安定となっている。
さらに、この日の相場下落によって、BTCドルは短期筋(Short-Term Holder=STH)の推定平均取得単価(Cost Basis=CB)となる10万9000ドル(≒1606万円)を終値で割り込んでおり、相場トレンドが反転した可能性が指摘される(第2図)。

他方、今週は米国で雇用統計ウィークとなっており、9月米連邦公開市場委員会(FOMC)での政策決定に関して重要な手掛かりが控えている。パウエルFRB議長は先月、物価と雇用のリスクのバランスがシフトしているという認識を示しており、雇用者数の減少や失業率の上昇が確認されれば、BTCのみならず米国株相場も切り返す切っ掛けになるとみている。
9月はBTCにとっても米株にとってもパフォーマンスの悪い月となってきているが、昨年は9月のFOMCでの利下げを切っ掛けにBTCは復調し、長期下降チャネルからブレイクアウトする布石となった。雇用統計まではまだ時間があり、目先のBTCは節目の10万5000ドル(≒1547万円)近辺まで下落余地があるとみているが、アク抜けは近い可能性もまだあるとみている。




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bitbank Report 2025/09/01:BTCは3週続落で1600万円割れ 雇用統計まで軟調地合い続くか