米金利急落もBTCは反発に失敗 雇用統計大幅下方修正でリスクオフムードに

7月28日〜8月3日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比75万2674円(4.32%)安の1687万2144円と反落した。
9月の利下げに関する手掛かりがなく、タカ派的だった米連邦公開市場委員会(FOMC)の翌日に発表された6月の米個人消費支出(PCE)デフレーターが市場予想比で上振れたことで、先週のBTC円は1800万円を窺う展開から急転し、1日に1750万円を割り込んだ。
PCEの結果を受けて米金利が急上昇するなか、2日に発表された7月の米雇用統計では、月間の非農業部門雇用者数が市場予想の+11万人を下回る+7.3万人となった上に、5月と6月の雇用者が合計で25.8万人も下方修正されたことで、金利は暴落した。ただ、これによって米景気後退懸念が台頭し、BTC円は米国株相場の下落に連れ安となり、1700万円を下抜けた。
週末も3日は上値の重い展開が続き、相場は一時1650万円近辺まで下げたが、シカゴマーカンタイル取引所(CME)のBTC先物がおよそ3週間目に開けた窓を埋める水準まで相場が下落したことで、3日からは買い戻しが入り、1700万円周辺まで戻している。

第1図:BTC対円チャート 1時間足 出所:bitbank.ccより作成
米雇用統計の結果を受けて米金利は確かに下落し、FF金利先物市場はFRBによる9月の利下げの確率を80%以上織り込んだたものの、予想外の下方修正を受けて米国の労働市場失速、引いては景気後退への懸念が金融市場のリスク選好度を低下させた。
ただ、1日の下落と2日の下落は性質が違う。前者は金利据え置き長期化観測による金利上昇が背景にあり、後者は雇用統計下振れサプライズによる景気後退懸念と言える。どちらもリスク資産であり「金利を生まないコモディティ(商品)」であるBTCにとっては売り材料だが、景気後退の可能性が強まればFRBによる利下げ再開はより現実味を増す。実際、FRBによる昨年9月の利下げ開始も夏にかけての労働市場の減速がトリガーの一つとなったと言える。
勿論、利下げの手掛かりをさらに掴めるまで安心はできないが、BTCも米株も短期で売られ過ぎと指摘され、目先では揺り戻しが視野に入る。また、足元のBTCドルは、高値レンジの下限11万4750ドル(≒1696万円)を試す展開となっており、終値で同水準の回復に成功すれば、テクニカル面のセンチメントも改善するだろう(第2図)。
今週は週後半から複数のFRB高官らの発言も控えており、雇用統計の結果を受けて全体的にタカ派的なトーンが緩むかに注目した。
仮に、BTCドルが高値レンジ下限の回復に成功すれば、レンジ下抜けはダマシとなり、買い戻しによって速やかに11万8000ドル台(≒1744万円)に戻すと指摘される。一方、高値レンジ下限が相場の抵抗となったとしても、75日移動平均線や一目均衡表の雲が待ち構える節目の11万ドル周辺(≒1626万円)が相場のサポートとなるだろう。





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bitbank Report 2025/08/04:米金利急落もBTCは反発に失敗 雇用統計大幅下方修正でリスクオフムードに