金の反落に耐えたビットコイン ETH相場の天井はまだ先か?
1日のビットコイン(BTC)対円相場は3日続伸。終値は前日比24,077円(1.94%)高い1,263,033円と、127万円台の奪回目前となった。アジア時間のこの日の相場は、先週のダブルボトムネックラインにタッチして反転上昇(第2図)。イーサリアム(ETH)や金先物の上昇も支援となり、欧州時間序盤には126万円台を回復した。NY商業取引所(NYMEX)の金先物の中心限月(12月物)はこの日、8月19日ぶりに心理的節目の2000ドルにタッチしたが、NY時間のドル高を背景に上げ幅をほぼかき消す形となった。しかし、BTCはこれに連れることなくNY時間でもう一段高。DeFiバブルで分散型取引所(DEX)のUniswapの出来高が米大手取引所のコインベースを超えたことや、年初来高値を更新したことを背景に、ETH相場が上値を追う展開を繰り広げ、BTCやその他アルトコイン相場を牽引した。BTCはその後、対ドルで節目の12,000ドル(≒127万円)を挟み込む動きとなったが、足元では利食いが入り126万円台前半で推移している。
金相場の下げにつられずETH相場の上げについて行ったということは、BTCは金やドルよりもETH相場の動向に影響されやすいと指摘され、DeFiブームが収束した後にETH売りが加速するリスクはある程度念頭に入れておきたい。ただ、直近の仮想通貨市場では、循環物色と調整が目まぐるしく入れ替わりつつ時価総額は上昇しており、過剰な警戒感も得策とは言い難い。DeFiバブルとも言われる昨今の市場だが、ICOバブルでETH相場が17年末から18年初頭にかけて大天井を形成した際は、週次の終値ベースで400ドル弱の値幅を記録していた。天井・大底では、トレンドに乗り遅れた順張勢と利食い勢の思惑が錯綜し、相場が激しく動きやすいが、当時と比較すると、7月からのETH相場の値幅は週次の終値ベースで100ドルも超えておらず、過去のパターンからすれば、依然、アップサイドの余地はありそうだ。
今日からは米重要指標が連日発表を控える。今夜のADP雇用統計、明日の貿易収支と失業保険件数、明後日の非農業部門雇用者数と失業率と、ドルを動かす材料が豊富と言え、ドル安が再開すれば、BTCは今度こそ12,000ドルに乗せるか。
第3表:市場時価総額・出来高(¥)、主要銘柄市場占有 当日9時時点のデータ ※前営業日比 出所:CoinGecko.comより作成
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bitbank Report 2020/09/02:金の反落に耐えたビットコイン ETH相場の天井はまだ先か?