ハードフォークとは「仮想通貨仕様の変更」!投資家にとってのメリットを紹介
仮想通貨のハードフォークとは、インターネット上で一本につながっているブロックチェーンが途中から枝分かれする現象です。
ハードフォークが発生すると、ブロックチェーンが分離して新しい仮想通貨が誕生するため、保有している通貨の価格に影響が出る可能性もあります。
本記事では、ハードフォークに関する以下の項目を解説しています。
【この記事を読むとわかること】
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仮想通貨のハードフォークについて気になる方は、ぜひ参考にしてください。
仮想通貨のハードフォークとは?特徴や違いを紹介
ハードフォークとは、一言でまとめると仮想通貨のプロトコル(ルールや仕組み)変更です。
具体的には、通貨のブロックチェーンにおいて、新たなルールや機能を追加するためのアップデートを行います。
ハードフォークが実施されると、通常一本につながっているブロックチェーンが途中から枝分かれし、新しい仮想通貨が誕生します。
まずは、仮想通貨のハードフォークに関する以下3つの特徴から確認しましょう。
- ハードフォークが起こる理由
- ソフトウォークとの違い
- Segwit(セグウィット)との違い
ハードフォークが起こる理由
ハードフォークが発生する理由は、既存のブロックチェーンをアップデートするためです。
なぜアップデートが必要になるのかを以下表で確認しましょう。
ハードフォークの目的 | 問題 | 理由 |
高速で大量の取引が処理できる仕組みを導入する | スケーラビリティの問題 | 取引量が増えるにつれて、ブロックチェーンの処理能力が追いつかなくなる |
セキュリティを強化するための改良を行う | セキュリティの向上や新たな機能の追加 | 仮想通貨のプロトコルには、時折セキュリティ上の脆弱性が見つかること |
新しい通貨に分かれて独自の方針で運営する | コミュニティの意見・主張がズレる | 運営の目的や方針がズレる |
基本的には、既存のブロックチェーンが抱える問題を解決するために、ハードフォークを行います。
ソフトウォークとの違い
ソフトウォークもハードフォークと同じく、既存のブロックチェーンのルールやプロトコルの変更を行います。ただ、既存のブロックチェーン上でルールを変更するため、仕様変更の内容は難しくありません。
既存のブロックチェーンと互換性を残して枝分かれしており、一時的に分岐しても再び一つに統合されます。
ハードフォークと違い、新しいブロックチェーンが誕生しないのもソフトウォークの特徴です。
ハードフォークとの違い
ハードフォークは、ソフトウォークと違い大規模なルール変更を行うため、新しいブロックチェーンが誕生します。
既存のブロックチェーンとは互換性もないため、再び統合する可能性はありません。
ソフトウォークとハードフォークはどちらも、ブロックチェーンのルールを変更する行為ですが、規模が異なります。
ソフトウォークは既存のブロックチェーン上にて行う軽微な変更で、ハードフォークは新しいブロックチェーンが誕生するほど大規模であると覚えておきましょう。
Segwit(セグウィット)はソフトフォークで行われた
ブロックチェーンのルールを変更する仕組みとして「Segwit(セグウィット)」があります。Segwitについて簡単に説明すると、取引データを圧縮して効率よく処理する技術です。
ブロックチェーンは取引量が増えると、処理能力が追いつかなくなり、取引を承認するまでの時間が伸びたり手数料が高くなったりします。
この問題は「スケーラビリティ問題」と呼ばれており、Segwitの仕組みを使って解消できます。
Segwitはハードフォークとは違い、既存のブロックチェーン上でルールを変更できるため、ソフトフォークとなります。
Segwitを導入している通貨の例として以下2つが存在します。
- ビットコインキャッシュ
- モナコイン
上記はSegwitの導入によって通貨としての機能が向上し、投げ銭や送金などにも利用された実績があります。
Segwitもプロトコルを強化する仕組みですが、ハードフォークと違いブロックチェーンを分ける必要はありません。
【実は2016年から】ハードフォークの歴史
実は、ハードフォークは仮想通貨誕生から8年後の2016年から行われています。
ハードフォークを実施した以下3つの仮想通貨とともに、これまでの歴史を振り返りましょう。
- ビットコイン
- イーサリアム
- XEM(NEM)
ビットコイン
ビットコインのハードフォークは、「スケーラビリティ問題」を理由に2017年に行われました。
デジタル通貨として初めて世の中に誕生したビットコインは、世界中で普及が広まり取引量も増える過程で、処理機能の問題にぶつかります。
仮想通貨に携わる技術者たちは、以下2つの対策案を検討しました。
A案:ブロックサイズの上限を変えず、可能な限りソフトウォークで対応する
B案:Segwitを導入してブロックサイズの上限を引き上げてデータ量を増やす
ただ、2つの主張が一致しなかったため、ハードフォークを行い新たなブロックチェーンが誕生しました。
ハードフォークでB案を実施した通貨が「ビットコインキャッシュ(BCH)」です。ビットコインの詳しい内容につきましては、以下の記事も参考にしてください。
https://bitbank.cc/knowledge/column/article/bitbankplus-column-system-of-bitcoin
イーサリアム
イーサリアムは仮想通貨で初めてハードフォークを行ったプロジェクトです。ハードフォークを実施したのは2016年で、当時発生した「The DAO事件」がきっかけになっています。
The DAOとはイーサリアム上で運営される予定だったプロジェクトのことで、とあるハッカーに攻撃され、約150万ETHが奪われました。
The DAO事件の対応策としてハードフォークが実施されたわけです。
ハードフォークで、ブロックチェーンのプロトコルを変更して過去の取引履歴を取り消し、The DAO事件をなかったことにしました。
The DAO事件の対策としてハードフォークを行い誕生したのが「イーサリアムクラシック(ETC)」です。
イーサリアムの詳しい内容につきましては、以下の記事も参考にしてください。
https://bitbank.cc/knowledge/column/article/bitbankplus-column-futureofethereum
XEM(NEM)
XEM(NEM)のハードフォークは2021年に行われています。XEMのハードフォークが行われた理由は、ブロックチェーンの大幅なアップデートです。
ハードフォークを行った結果、シンボル(Symbol/XYM)が誕生しました。シンボルは、XEMの完全上位互換であり、ビットコインとビットコインキャッシュのような関係ではありません。
どちらも市場に残っているものの、XEMの位置づけはシンボルのサーブチェーン(補助的な役割)です。
ハードフォークを行った通貨は、用途が変わっているケースもあるため、既存通貨との関係性も調べておきましょう。
ハードフォークが仮想通貨に与える影響
ハードフォークを実施した場合、仮想通貨にはどのような影響があるのでしょうか。
ここでは、ハードフォークが仮想通貨に与える影響について解説します。
- 新しい仮想通貨が誕生する
- 市場全体の値動きに影響が発生する
新しい仮想通貨が誕生する
ハードフォークが起こると既存のブロックチェーンから完全に分離するため、新しいブロックチェーンが誕生します。
ハードフォークで新しく誕生した仮想通貨を手に入れる方法は以下のとおりです。
- 上場後に購入する
- エアドロップで配布される
誕生した仮想通貨は段階を追って取引所に上場されます。
国内の取引所は上場基準が厳しいため、誕生してからすぐに購入する場合は、海外取引所を利用する必要があります。
また、ハードフォーク実施前から既存の仮想通貨を保有している場合は、エアドロップ(無料配布)の対象となるケースもあるため、事前に確認しておきましょう。
ハードフォークによって生まれた通貨は既存のブロックチェーンを大幅にアップデートしているため、機能的には高性能になっています。
購入できる場所を知っておくと利益を出せる可能性もあるため、ハードフォークの情報は集めておくとよいでしょう。
市場全体の値動きに影響が発生する
メジャーな仮想通貨がハードフォークを実施すると、市場全体の値動きに影響を及ぼす可能性があります。ハードフォークにより、プロジェクトのアップデートなど大幅な方針変更が行われるためです。
時価総額の大きいメジャーな仮想通貨がハードフォークをすると、多額の資金が動くため、市場全体に影響が発生してしまいます。
たとえば、2017年にビットコインのハードフォークが行われた際は、仮想通貨市場全体にポジティブな影響を与え、バブル相場へ突入するきっかけになったとも言われています。
確実に市場の値動きへ影響が出るわけではありませんが、主要銘柄がハードフォークを実施するときには価格推移に注目しましょう。
ハードフォークした仮想通貨はどうなる?
ハードフォークを行うと、新しい仮想通貨が誕生するため、既存の銘柄を保有している場合はどうなるのか疑問に思う方も多いと思います。
結論、既存の仮想通貨に影響はありません。むしろ、ハードフォークにより誕生した新規通貨が付与される可能性があります。
たとえば、ビットコインキャッシュは、分裂前に保有していたビットコインの同数が無料で配布されています。
ただ、ハードフォークを実施したからといって確実に配布されるわけではありません。保有している仮想通貨がハードフォークした場合は、新規通貨の配布条件を確認しておきましょう。
ハードフォークは投資家に利益をもたらすのか
ハードフォークは、ブロックチェーンの機能を向上させる仕組みですが、投資家に対して利益があるのでしょうか。
ここからは、ハードフォークで投資家が得られる利益(メリット)について解説します。
- 既存のブロックチェーンが抱える問題を解消できる
- 新規通貨が獲得できる
- 価格が上昇する可能性もある
既存のブロックチェーンが抱える問題を解消できる
ハードフォークは、既存のブロックチェーンが抱える問題を解消するために行います。
新しく生まれる仮想通貨は機能性が向上し、長期的にみると実用性が高まるため、投資家にとっては利益になるでしょう。
たとえば、ビットコインはスケーラビリティの問題を解決するために、ハードフォークを行いました。
新たに誕生したビットコインキャッシュは、送金性や決済機能が高いため、投げ銭として使われた実績もあります。
機能性が向上して実用化された場合、ブロックチェーンが抱える問題を解決したと認識できるため、投資家としても資金を入れやすくなります。
新規通貨が獲得できる
ハードフォークが発生した際に、既存の通貨を保有していた場合、新規通貨を無料で獲得できる可能性があります。
無料で獲得した通貨は当然売却できるため、売却益はそのまま利益になります。そのため、ハードフォークにより新規通貨を獲得できるだけでも、投資家にとって利益があるといえるでしょう。
仮想通貨を無料で獲得する方法につきましては、以下の記事も参考にしてください。
https://bitbank.cc/knowledge/column/article/bitbankplus-column-free
価格が上昇する可能性もある
ハードフォークによって新しい通貨が誕生すると、投資家から注目度が高くなり、価格上昇につながる可能性があります。
新しい通貨は、基本的に既存のブロックチェーンよりも高性能であり、投資対象になるからです。
また、既存の仮想通貨保有が、新規発行銘柄の配布条件になる場合があるため、既存の仮想通貨に対してもポジティブな影響を与えます。
ハードフォークにはリスクも存在する
ハードフォークはブロックチェーンの機能が向上するなどのメリットがある一方、リスク(デメリット)も存在します。
ここでは、ハードフォークのリスクについて以下3つを解説します。
- セキュリティのリスク
- 価格変動リスク
- 一時的な取引停止リスク
セキュリティのリスク
ハードフォークが発生すると、一時的にブロックチェーンのセキュリティが弱くなる傾向にあります。ブロックの承認に必要となるシステムの力が分散されてしまうためです。
セキュリティが弱くなってしまうと以下のようなリスクが発生します。
リスク | 詳細 |
リプレイアタック | 送金データの転送が不正に繰り返されたり、遅延させられるサイバー攻撃 |
バグ・エラー | プログラムに不具合が生じるリスク |
取引データの信頼性低下 | 承認作業の難易度が下がるため発生する |
一時的にシステムが分散されるため、セキュリティのリスクが発生する確率も高くなります。
ただ、ハードフォークはブロックチェーンを強化する仕組みであるため、既存のセキュリティより強化されるのが一般的です。
価格変動リスク
ハードワークにより新規通貨が発行された場合、投資家から注目と資金が集まる一方で、価格変動リスクが高くなります。
ハードフォークは、既存のブロックチェーンに改善点があるためです。たとえば、ハードフォークを行う理由として以下2つが存在します。
- 既存のブロックチェーンの処理機能が不足している
- 開発チームの主張が食い違う
上記問題はハードフォークによって解決できる可能性もありますが、現状抱えている問題自体が悪材料として捉えられるケースもあります。
一時的な取引停止リスク
ハードフォークを実施すると、既存のブロックチェーンが分離するため、一時的に取引が停止してしまいます。
ハードフォークの仕様によっては、既存のブロックチェーン取引が廃止になる可能性もゼロではありません。
保有している仮想通貨がハードフォークを実施する前に、一時的に保有をやめたり、一定期間様子を見たりしてリスクを回避しましょう。
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ハードフォークとは、仮想通貨のプロトコル(ルールや仕組み)の大幅な変更です。既存のブロックチェーンが枝分かれするため、新しい仮想通貨が発行されます。
ハードフォークが実施で投資家が受けられるメリットは以下のとおりです。
- 既存のブロックチェーンが抱える問題を解消できる
- 新規通貨が獲得できる
- 価格が上昇する可能性もある
ハードフォークは、既存のブロックチェーンが抱える問題を解消するために実施されます。
そのため、既存仮想通貨の価値上昇はもちろん、無料で手に入る新規通貨の売却益による、利益を得られる可能性があります。
ハードフォークに興味のある方は、実施予定の仮想通貨を保有してみるとよいでしょう。