EUが新たな規制案を検討、ステーブルコインが対象に

EUでは暗号資産(仮想通貨)を使ったサービスに対する新たな規制案が検討されている。欧州委員会(EC)は仮想通貨のルールを明確化し各国で関連ビジネスをスムーズに行う環境を整える。
今回新たに議論されたデジタル・ファイナンス・パッケージには仮想通貨の他に電子決済サービスなども含まれていた。仮想通貨の中では特にステーブルコインに対する規制を強化する内容があった。
ステーブルコインは法定通貨を担保に発行される電子通貨で、ECは投資家保護や金融システムの安定化に向けて規制を試みている。ステーブルコインを発行する業者に対して財務の報告義務を課すことや規制当局の監視下に置くことなどが検討されている。
今回の議論では580万ユーロを超えるステーブルコインを発行する業者を規制対象にする内容が含まれている。少額のステーブルコインを発行するスタートアップは規制対象外となった。
仮想通貨市場では、最大のステーブルコインであるUSDTを発行するテザー社のコンプライアンス問題がたびたび話題にあがる。ニューヨーク州司法長官が同社の捜査を行っているとのニュースもあり、テザー社は財務が不健全であることや準備金の不正利用の疑いがかけられている。
最近、誤送金で巨額のUSDTを失ったユーザーに対して、テザー社はUSDTを新規発行し補填しており、同社の操作でUSDTはいくらでも増やすことができる仕組みであることを証明した。ステーブルコインの発行元に対しては何らかの規制は必要であるとみられており、ECのように規制強化が世界各国で検討されている。