雇用統計を凌いだBTC 方向感はまだ出ないか?

3日〜9日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比118,014円(2.67%)安の4,304,208円と4週ぶりに反落した。
先週木曜日に発表されたADP雇用レポート民間部門雇用者の増加数と、サービス業購買担当者景気指数(PMI)の上振れを受けて440万円を割ったBTCは、複数のバイナンス幹部辞任の報を受けて一時はドル建てで節目となる30,000ドル水準(木曜日時点で約436.9万円)をも割り込んだ。ただ、6月の米雇用統計発表を控え、金曜日の東京時間には、相場は430万円周辺で下げ渋った。
米雇用統計では、非農業部門雇用者数の増加が市場予想を下回った一方、失業率は改善し、平均賃金は前年比と前月比の双方で市場予想を上回り、米国債利回りは短期ゾーンが低下するも長期ゾーンが上昇。BTC相場も方向感を見出せず430万円台で振れる展開に終始して週末を迎えた。
週末9日には、バイナンスUSが米ドルの入金一時停止と13日からの出金停止を発表。同取引所ではBTC価格の数千ドルの下方乖離も確認され、規制取り締まりが強まるなか同社の運営への懸念が燻り、相場はやや上値を重くしている。

今週のBTC相場は、30,000ドル水準(≒427.4万円)を維持し続け高値レンジ内で推移できるかが焦点となろう。13日木曜日のバイナンスUSのドル出金停止を控えた売り圧力が懸念される一方、12日水曜日に発表される6月の米消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で5月の4.0%から3.1%、食品とエネルギーを除いたコア指数でも5.3%から5.0%への伸び鈍化が予想されており、BTC相場には支援材料となるか。また幸いなことに、6月の雇用統計の結果も一方的に年内残り2回の利上げを正当化する内容ではなかったと言え、目先のBTC相場は底堅い推移が想定される。
しかし、昨今のBTCマイナーの利益確定の思惑に加え、足元では1万BTC以上を保有するアドレスの数が過去1週間で減少するなど、相場が戻せば実需筋と大口の利食いが懸念される。オプション市場でも一時は大きくマイナスに振れたスキュー指数が足元ではニュートラル(0%)な水準に戻しており、BTCは引き続き底堅くも上値の重い展開が続くか。
テクニカルの側面では、移動平均線の「パーフェクトオーダー」と一目均衡表の「三役好転」が完成しており、相場トレンドは強気を示唆している一方、ボリンジャーバンドは「拡大→縮小」とトレンドの始まりを示唆しており、-2σ〜+2σの間でレンジ相場を形成しやすいと言える。




