BTC対ドルも年初来高値更新! 今週は上げ一服の予感も

19日〜25日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比641,626円(17.18%)高の4,375,773円と上伸し、4月14日に記録した年初来高値(4,110,494円)を更新し、昨年5月ぶりの水準まで回復した。
米大手運用会社ブラックロックの現物型BTC上場投資信託(ETF)申請を皮切りに、伝統的金融機関(TradFi)による同様のETFの申請が続くなか、先週はフィデリティやチャールズ・シュワブが後援する暗号資産(仮想通貨)取引所のEDX Marketsがサービスを開始した他、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が、仮想通貨のアセットクラスとしての持続力を認める発言を好感し、相場は370万円台から430万円周辺まで回復した。
その後は、テクニカル的な過熱感もあってか、ドル建てで節目の30,000ドル水準となる430万円周辺で揉み合う場面もあったが、米証券取引委員会(SEC)がボラティリティ・シェアーズのレバレッジ型BTC先物ETFに承認を下したことで、相場は450万円にワンタッチ。しかし、これによりBTCはドル建てでも年初来高値(31,050ドル)を更新すると、その後は失速し、週末には31,000ドル水準(≒444.9万円)が相場のレジスタンスとなった。

先週金曜日には、欧州圏の6月HCOB購買担当者景気指数(PMI)速報値とS&Pグローバルの米PMI速報値が、総合・製造業・サービス業の全ての部門で5月から低下。米サービス業PMIの低下は今年に入り初めてということもあり、利上げによる景気減速懸念が米国債利回りに下押し圧力を掛けた。先週の議会証言でパウエル議長は、年内残り2度の利上げについて、想定通りに経済が推移した場合の試算と発言しており、景気減速のサインはBTC相場の下支えとなろう。
一方、パウエル議長は今週もポルトガル(28日)とスペイン(29日)で金融政策に関して発言する予定となっており、引き続き慎重ながらタカ派的な姿勢を保持すると見込まれ、週央にかけては米国債利回りの動きに注意したい。
他方、BTC対ドルは、高値ベースでは年初来高値を更新したものの、終値ベースでは31,000ドルの回復に失敗しており、週末も挟んだことから上昇一服感もうかがえる。テクニカル的にも相対力指数(RSI)が「買われ過ぎ」とされる70%を超えている他、BTCマイナーから取引所へのBTC送金量も月次ではおよそ10年ぶりの水準まで増加しており(第2図)、チャートの節目での実需筋の売り圧力には注意したい。
TradFiの連続参入で勢いづいた先週のBTC相場だが、ETFの承認に向けて動きがなければ材料の賞味期限も意識されると指摘され、今週の相場は調整基調で31,000ドル乗せに苦戦する展開を想定する。




