SEC訴訟の影響が当事者以外にも飛び火 混乱のなかで迎えるFOMCでBTCはどうなる?

5日〜11日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比188,001円(4.94%)安の3,619,997円と2週続落。ドル建てでは、およそ3ヶ月ぶりに週足終値で26,000ドル(≒362.8万円)を割り込んだ。
米証券取引委員会(SEC)によるバイナンスとコインベースの提訴により、先週の暗号資産(仮想通貨)市場は週明けからアルトコインを筆頭に売り優勢となったが、同委員会に「商品(コモディティ)」として認められているBTCは、対ドルで2月高値の25,300ドル(≒353.1万円)周辺で買い支えられ、他のアルトコインと比較して底堅い推移が続いた。ただ、5月の米消費者物価指数(CPI)と米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、先週は米株市場やNY金先物も警戒感から方向感を示せず、BTCの上値は重かった。
こうしたなか、金曜日にはバイナンスUSが米ドルの入出金停止を発表した他、Crypto.comが機関投資家向けサービスの停止を発表し、ロビンフッドがカルダノ(ADA)、ポリゴン(MATIC)、ソラナ(SOL)とSECが証券と主張するアルトの取り扱い廃止を発表した。すると週末にはアルト主導で再び仮想通貨は全面安となり、BTCも連れ安。ただ、BTCはドル建てで2月高値周辺でまたも下げ止まり、足元では弱々しくも戻りを試している。

SECによるバイナンスとコインベースの取り締まりが他の交換業者にも飛び火し始め、影響の更なる波及が懸念される事態となった。こうしたアクの抜け切らない状況で今週は米CPI(13日)とFOMC(14日)が控えており、週明けの本日は市場の警戒感が強まりそうだ。
FF金利先物市場は利上げの見送りを70%ほど見込んでいるが、直近でCPIと個人消費支出(PCE)価格指数がヘッドラインとコア指数の双方で下げ止まっていることに鑑みるに、依然として楽観は禁物かと指摘される(第2図)。尤も、FF金利先物市場は7月に利上げが決定される可能性を現時点で50%ほど織り込んでいることから、6月に利上げが決定されても大きな売り材料にはならないと見ている。また、今回のFOMCでは年末までの金利見通しも少なからず引き上がることが想定され、市場が予想するターミナルレートの中央値である5.4%に収まるかも注目だ。
5月のFOMC声明には「あとどれだけの引き締めが必要か見極める」との文言があったが、インフレが足踏み状態となっている現状では、引き続き利上げ停止のタイミングへの言及は避けると指摘され、BTCにとっては良くも悪くも現状打開となる材料はまだ出ないか。

一方、BTC対円は一目均衡表の三役逆転が再び完成し、ボリンジャーバンドではセンターラインが下がりつつバンド幅が徐々に拡大しており、テクニカルの側面では引き続き下値リスクに警戒が必要と言える。足元では対ドルで2月高値水準となる353.1万円がサポートとして機能しているが、同水準を割り込めば200日移動平均線(23,600ドル≒329万円)周辺が下値目途となるだろう。




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bitbank Report 2023/06/12:SEC訴訟の影響が当事者以外にも飛び火 混乱のなかで迎えるFOMCでBTCはどうなる?