反落するも底堅いBTC 市場の金利見通しは楽観的過ぎるか?

5月29日〜6月4日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比141,212円(3.58%)安の3,807,998円と反落した。
先週のBTC相場は、ドル建てでダブルボトムのネックライン維持失敗や一目均衡表の三役逆転の完成と、週央からテクニカル的なセンチメントが悪化し、節目の27,000ドル(≒387.6万円)を割る場面もあった。一方、金曜日の東京時間には米債務上限法案が上院を通過したとの報道を受けて同水準を回復。また、この日発表された5月の米雇用統計では、月間の非農業部門雇用者数が市場予想を大きく上回る増加となり、一時はBTC相場の重石となったが、米株市場は平均時給が前年同月比と前月比で共に上昇率が低下したことを好感し、BTC相場の支援となった。
しかし、金曜日の米市場では、雇用統計の結果を受けて米国債利回りが確りとした動きとなり、金(ゴールド)相場が反落。これがBTC相場の上値を圧迫し、BTCの上げ幅はやや限定的だった。
ボラティリティの落ち着きやすい週末のBTC相場は概ね380万円近辺で横ばいに終始。アトミックウォレットへのハッキングを受けて一時は相場が小緩む場面もあったが、27,000ドル水準周辺で買い支えられた。

今週のBTC相場は底堅くも方向感に欠ける展開を想定している。第一・四半期の米単位労働コストの低下や平均時給の伸び鈍化で賃金インフレの減速が示された他、米連邦政府のデフォルト回避も確定した訳だが、6月米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げの有無に関しては市場の楽観が先走りしているようにもうかがえる。
先週31日に公開された米地区連銀経済報告(ベージュブック)では、多くの地域で景気の見通しはやや悪化し始めている他、労働市場では賃金の上昇圧力が年後半に改善する見通しを示す地域もあった。一方で、物価に関しては多くの地域で上昇ペースが鈍化しているものの、堅調な需要とコストの上昇は健在で、殆どの地域の回答者から緩やかな物価上昇が続くとの見解が示されており、6月FOMCに向けて決定的な手掛かりがある状態ではないと指摘される。
今週は、今夜発表される全米供給管理協会(ISM)のサービス業動向レポートが注目されるが、それ以降はBTC相場にとって目星い経済指標に欠ける1週間と言える。ただ、先週完成したBTC対ドルの三役逆転は、週末に転換線が基準線を上抜けたことで解消され、先週と比べればテクニカル的なセンチメントは改善に向かっている。アルトコイン市場を見渡すと、半減期が迫るライトコイン(LTC)相場が確りと推移している他、米リップルと米証券取引委員会(SEC)の裁判が終盤に差し掛かっているとの期待感からXRP相場も強含んでおり、全体的なムードの改善がBTC相場の下値を支えるか。




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bitbank Report 2023/06/05:反落するも底堅いBTC 市場の金利見通しは楽観的過ぎるか?