債務上限引き上げ暫定合意でBTC上伸 まだアク抜けと思えない?

22日〜28日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比256,157円(6.94%)高の3,949,210円と上伸。ドル建てでは節目の28,000ドル(≒393.5万円)を今月7日ぶりに終値で回復した。
米債務上限を巡るホワイトハウスと野党共和党の協議が注目されるなか、金曜日にはイエレン米財務長官が、債務上限を引き上げなかった場合に米連邦政府が資金枯渇に陥る「X Day」の期限をこれまでの6月1日から6月5日とする新たな試算を発表した他、マッカーシー(共)下院議長から協議に進展があったとするコメントが好感され、BTCは金曜日の米時間に370万円から370万円台中盤に戻した。
週末のBTC相場は375万円周辺で揉み合う展開で始まったが、日曜日には債務上限を巡りバイデン米大統領とマッカーシー下院議長との間で債務上限引き上げの条件が暫定的に合意されたと報じられ、相場は380万円を回復。さらに本日未明には、同協議を巡り、「残る争点はない」とバイデン大統領が発言したことで、BTCは再度、上値を追う展開を演じ、一時は400万円にタッチした。

今週までもつれこむかと思われた米債務上限を巡る協議だが、週末の合意により残るハードルは上下両院での法案の採決となった。米債務上限問題は5月のBTC相場の上値を圧迫していただけに、合意の報道でリスクオンムードを掻き立てた。
一方、金曜日に発表された4月の米個人消費支出(PCE)価格指数は、ヘッドライン(総合)とコア指数共に前月比と前年同月比で市場予想を上回り3月から伸びが加速し、インフレの中長期的なトレンドを示すトリム平均PCEインフレ率も徐々に上向き初めた。こうした結果を受け、FF金利先物市場では6月米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利上げを織り込む動きが加速しており、政策金利動向に敏感且つBTC相場との逆相関を強める米2年債利回りも上昇している。
今週も米供給管理協会(ISM)の製造業動向レポートや5月の米雇用統計の発表を控えており、こうした経済指標の結果が足元のリスクオンムードに水を差す可能性には注意したい。

チャート上では、BTC対ドルは3月に相場のレジスタンスとなっていた28,800ドル〜29,000ドル(≒404.8万円〜407.6万円)エリアを目掛ける展開となっているが、上述の通り、米国の景気や物価上昇率の底堅さが示されれば、同エリアの上抜けも難しいかと指摘される。とは言え、米国のデフォルト回避に加え景気の底堅さが示されれば米株には追い風とも指摘され、今週のBTC相場は上値が重くも底堅く、方向感に欠ける展開が見込まれる。
米債務上限引き上げを巡る法案は31日に下院で採決が行われると発表されており、まずは法案が下院を通過できるかしっかりと見届けたい。




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bitbank Report 2023/05/29:債務上限引き上げ暫定合意でBTC上伸 まだアク抜けと思えない?