BTCは3.1万ドルから失速 5月の利上げ織り込み進む

10日〜16日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比318,291円(8.50%)高の4,062,344円と上昇。相場は3週間ほど続いた370万円周辺のレンジからブレイクアウトに成功している。
イーサリアム(ETH)の上海(シャペラ)アップグレードを無事に通過した安心感から、週央からのBTC相場はETH相場の上昇を味方に400万円を回復すると、3月の米生産者物価指数(PPI)が市場予想を下回り米株が反発したことで、400万円台前半で小確りと推移した。
金曜の東京時間には、ETH相場が2,000ドル周辺から2,100ドル台に急伸し、BTCは連れ高で411万円にタッチするも、ドル建てで31,000ドル周辺となる同水準がレジスタンスとなり失速。この日は3月の米消費者信頼感指数が市場の予想に反して改善したことや、米連邦準備制度理事会(FRB)のウォーラー理事が追加利上げを支持したことで米株が反落し、BTC相場は一時400万円台前半まで押し返された。
一方、ETHを筆頭にアルトコインが底堅く推移すると、BTCも下げ幅を縮小し、週末は概ね400万円台中盤での推移が続いた。

FF金利先物市場では、先週木曜日まで約70%の確率で5月の利上げを織り込んでいたが、金曜日のウォーラー理事の発言を受けて約80%まで来月の利上げ織り込みが進んだ。それでもBTC相場が底堅く推移している背景には、アルトコイン相場の底堅さの他に、5月で利上げが最後になることを市場がほぼ確実視しているからだろう。実際、先週公開された3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、3月時点での利上げ打ち止めが議題に挙がっていた他、銀行システムの不安定化による銀行の与信環境悪化を懸念する参加者の声が確認された。先週は米消費者信頼感指数が改善したが、小売売上高やその他の経済指標からは景気減速の兆候は健在と言え、FRBも慎重にならざるを得ない状況と言えよう。
とは言え、重要なイベントや経済指標を通過して今週はやや手掛かりに欠ける1週間となりそうだ。市場は既に8割ほど5月の利上げを織り込んでおり、マクロ要因の売りはある程度限定されると見ているが、アルトコイン相場の過熱感に鑑みれば、手掛かり不足で利食い売りが入ってもおかしくはなく、本日のBTCは既に30,000ドル(≒401.6万円)を僅かに割り込んでいる。
テクニカル的には、BTCは短期から長期の移動平均線が上から並ぶ強気のパーフェクトオーダーや、一目均衡表の三役好転を維持しており、先週の高値レンジ安値(29,675ドル≒397.2万円)や一目均衡表の転換線(29,409ドル≒393.7万円)など、実勢価格から比較的直近なチャートポイントで押し目を付けるか。



