FRBが懸念を示すもBTC底堅く パラグアイのBTC法案は期待できない?

先週(5日〜12日)のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比152,666円(3.89%)安の3,771,000円。大口投資家やマイナーの利食い、さらにはイーサ(ETH)相場の下落で一時は350万円割れを試しに行ったビットコインだったが、9日米時間には株高によるリスクオンが波及する形で切り返し、370万円台を奪回。この日は米連邦準備理事会(FRB)の金融政策レポートで「暗号資産(仮想通貨)市場の上昇が市場参加者のリスク選好度の増加を反映している」と、初めて仮想通貨を名指しにして懸念が示されたが、市場の反応は軽微だった。
週末は、目星い材料もでず、ビットコインは小動きとなったが、今朝方に380万円乗せをトライ。しかし、シカゴマーケンタイル取引所(CME)でBTC先物の取引が始まると上値を抑えられ、週足終値での380万円維持には失敗した。

今週は13日から14日にかけての米物価に関する指標が注目材料となろう。
市場予想では、米消費者物価指数(CPI)は前回比でやや低下する見込みではあるが、前年同月比で4.9%、コア指数は4.0%と引き続き強めの予想となっている。また、今週14日には卸売物価指数(PPI)とベージュブック(米地区連銀経済報告書)といった物価や雇用動向のヒントを得られる材料が豊富となっている他、14日と15日にはパウエルFRB議長の議会証言も控えており、週央にかけて相場のボラティリティが上昇しそうだ。
他方、14日にはパラグアイでビットコイン法が提出される予定だが、現段階でその詳細は明らかになっていない。提案者の一人であるカルリトス・レハラ下院議員によれば、「パラグアイと世界にメガサプライズとなる」とツイッターで述べており、エルサルバドルのようにビットコインの法定通貨化が法案に盛り込まれれば、一時的な相場の追い風にもなり得るが、大統領が主導してビットコインの法定通貨化を押し進めたエルサルバドルとは状況が異なることにも留意したい。
レハラ議員のHagamos党は上下両院で2議席ずつのみとなっており、上院議員で支持を表明しているフェルナンド・シルバ・ファシェッティ氏の真正急進自由党の議席を合わせても、上下両院で過半数には満たず、法案が通る見通しは良好とは言えない。「メガサプライズ」が何かは気になるが、どんな法案にせよ可決となる公算は低いか。
今週は週央の米指標とパウエル議長発言に留意しつつ、レンジのブレイクを見極めるのが無難そうだ。というのも物価指標に対する現状の市場の反応は読み難いということが言える。早期の利上げやテーパリング(量的緩和の段階的縮小)が現在ほど意識されていなかった5月(4月分)のCPIは、市場の予想を大きく上回ったことで金融政策正常化前倒し懸念が台頭した訳だが、直近では新型コロナのデルタ株の流行が経済活動再開に支障をきたし物価上昇圧力を下げるという懸念もあり、CPIが堅調な結果となればリスクオンになるとも言えなくはない。
テクニカル的には、ボリンジャーバンドがスクイーズ(収縮)しており、高いボラティリティを伴ったブレイクアウトが起きてもおかしくはない。「頭と尻尾はくれてやれ」という格言にもあるように、目先は様子見が無難だろう。





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bitbank Report 2021/07/12:FRBが懸念を示すもBTC底堅く パラグアイのBTC法案は期待できない?