底堅さを印象付けたBTC この先のマイナー戦略を考える
9月第2週のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比6,878円(0.63%)高の1,100,525円と小幅に反発。前週は週次で10%強安と下値を模索する展開となったが、先週は対ドルで心理的節目の10,000ドル水準(≒106万円)で下げ止まり、底堅い推移となった。
先週は、週前半のユーロとポンドの下落を受けたドルインデックスの上昇が、金相場、ひいてはBTC相場の重石となる場面もあったが、欧州中央銀行(ECB)当局者が域内景気回復に自信を示したことや、10日のECB定例理事会後にラガルド総裁から為替レートを政策の目標としないとの姿勢が示されユーロが切り返すと、ドルの上昇が抑えられ、BTCもジリジリと値を戻す展開となった。週末も子確りとした値動きが続き、13日の相場は一時112万円台に乗せる場面もあったが、この日はイーサリアム(ETH)相場が強く押し、BTCも高値の維持に失敗し反落した。幸い、節目の110万円は維持し、日足では一目均衡表転換線とボリンジャーバンド-1σを回復して週を終えた(第3図)。
13日には、直近1週間に渡ってBTCマイナーが取引所にBTCを送金する動きが加速していると指摘する報道もあったが、足元ではハッシュレートが過去最高水準付近で推移し続けており(第2図)、マイナーの退散に伴うBTCの投げ売りが起きている訳ではないと指摘される。レンジ上限付近の112万円周辺では戻りを狙って利確するマイナーがいる可能性もあるが、今週15日〜16日開催予定の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に売り崩しのようなことをするとも考え難い。ましてや、11月の米大統領選を巡る市場の混乱に伴う逃避需要を見込み、マイナーもより中期的なシナリオを考慮せざるを得ないと言え、現段階で自らの首を絞めるような売り方はしないだろうと見ている。
肝心のFOMCだが、予ねて指摘の通り今回はECBと足並みを揃える形で概ね緩和策の維持は期待されよう。何かしら追加的緩和が示されればさらにラッキーで、どちらにせよBTCには追い風となる公算が高いか。パウエルFRB議議長は17日午前3時半から定例記者会見を開く予定となっている。
テクニカルでは、先週に引き続き弱気な指標が多い。相場は長期の89日移動平均線の回復に失敗しており、一目均衡表では「強い売りシグナル」とされる3役逆転が維持されている。一方、ボリンジャーバンドでは、相場は-1σを僅かに回復し、下降トレンドのシグナルとなる下降バンドウォークが解消された。この先は、センターライン(115万円周辺)への回帰と共にバンド幅のスクイーズが期待されるが、それまでに一目雲下限(114万円)を突破できるか否かがテクニカル的な焦点となりそうだ。