SUSHI騒動でETH軟調もBTCは節目で底堅く 1万ドル守れるか正念場
9月第1週(8月31日〜9月6日)のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比144,715円(11.69%)安の1,093,647円と、およそ1カ月ぶりに110万円を割り込んだ。BTCは先週、一時対ドルで節目の12,000ドルにタッチしたものの、2日からのイーサリアム(ETH)の反動安とビットコインキャッシュ(BCC)の分裂騒動が市場全体の下落に拍車をかけ、BTCは2日から3日にかけて約18万円ほど吐き出し、108万円周辺まで安値を広げた。週末5日には、SushiSwap(SUSHI)の開発者が開発資金捻出のために手持ちのSUSHIトークンを全てETHに交換したとTwitterで公言。これがETHの換金売りを想起させたか、5日のETH相場はさらに安値を広げる展開となり13%ほど押したが、対ドルで心理的節目の10,000ドル(≒106万円)付近で推移するBTC相場の底は堅く、日足終値では同水準を死守している。
先週の下落で暗号資産(仮想通貨)市場の時価総額は6兆円ほど削られたが、週末の市場ではまたもやアルトコインを物色する動きが見られ、時価総額上位10名柄でもチェーンリンク(LINK)、ポルカドット(DOT)、バイナンスコイン(BNB)相場が復調し始めている。2日〜3日の急落後のBTC相場は心理的節目の10,000ドルを巡り危うい値動きを演じているが、循環物色再開の兆しや、FRBの「追加緩和期待」もあるからか、同水準付近では相場が買い支えられやすい模様だ。
米商品先物取引委員会(CFTC)が5日に公開したCOTレポートでは、1日終業時点でシカゴマーケンタイル取引所(CME)でのファンド勢のポジションは、BTCロングが縮小(- 568枚)、ショートが拡大(+ 694枚)し、ネットポジションは- 2,571と再び- 2,000を大きく下回った(第2図)。前回(8月25日分)のレポートでは、ジャクソンホールを前にショートを手仕舞う動きが加速し、ネットポジションは- 2,830から- 1,309まで大幅反発したが、9月1日にBTC相場が12,000ドルにタッチした達成感からか、今回はショートが積み増しされた。ただ、これまでネットポジションが- 2,000以下で推移すると、現物相場は時間差で持ち直すこともあったため、ファンド勢の売り余力の限界は近いか。
一方、BTCのチャートはこうした観測と今一つ噛み合わない。先週の下落を受け、相場は89日線を割り込み、短期の13日線は21日線と34日線でデッドクロスを示現。一目均衡表では強い売りシグナルとなる三役逆転が点灯しおり、ボリンジャーバンドも相場の下落と共にバンド幅が拡大し、下降トレンドを示唆している。相場復調に向け下降バンドウォーク(下降局面で相場が- 2σと- 1σの間で推移する現象)の解消を確認したいところだが、RSIは「売られ過ぎ」水準となる30%より上で推移しており、依然として警戒は怠れないだろう。
心理的節目の10,000ドルを巡り、今週のBTCは底堅い推移を想定するが、弱材料が出れば下値模索再開となりやすい状況と言えるため、突っ込み買いは禁物か。
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bitbank Report 2020/09/07:SUSHI騒動でETH軟調もBTCは節目で底堅く 1万ドル守れるか正念場