Bitcoin Monthly Report: 1年間を通して下落する結果も買い需要戻らず、前例がないほど弱い相場となったビットコイン
ビットコイン月足
- 12月のこれまでのビットコイン月足は、5.4%下落した陰線を記録しています。11月の月足も22.5%下落しており、2ヶ月連続で陰線を記録する可能性が高まっています。11月は6月までの安値を更新し大きく下落しました。12月に入っても下落の流れが継続しています。
- ビットコイン月足は昨年11月を頂点とした下落のトレンドラインを維持しています。このトレンドラインを超えることができないまま、今年の相場を終えることになりそうです。今年に入り3ヶ月移動平均線(3EMA)を超えたのは3月と10月の2ヶ月間だけでした。
- 1年間を通して下落トレンドが続いたビットコインですが、12月に入っても年初来安値圏で推移しています。足元で強い反発も見られず、安値の更新を試す展開となっています。220万円を割り込むと、2017年の高値近辺である160万円〜150万円まで下落する可能性があります。長期足の月足は明確に下落トレンドが継続し、年末も価格の下落に注意が必要な展開となるでしょう。
デリバティブ市場
未決済建玉数
- デリバティブ市場の未決済建玉は、足元の2ヶ月間で減少傾向にあります。10月以降にキャッシュマージン、BTCマージン共に減少し、投機的なポジションは減少傾向にある事がわかります。BTCマージンは2年前とほぼ同水準の18万BTCで推移しています。キャッシュマージンに至っては、2年前と比べると約3倍の30万ドルで推移しています。まだ投機的なポジションが完全に清算されたとは言い難い状況です。今後も相場環境によっては大きなボラティリティを齎す可能性があります。
先物価格乖離
- 3ヶ月先の先物価格と現物価格の乖離率は下落傾向です。価格の下落と共に先物取引の買いが弱くなり、現在の乖離率は-0.01%とほぼ乖離が無い状態です。11月に価格が下落した際は、乖離率が大きく下落する場面がありましたが、安定してマイナスになっているわけではないため、総悲観とは言えない状況です。今後乖離率がマイナスで推移し投機筋が売りに偏り始めると、価格の反発も期待できるようになるでしょう。
オプション取引
- オプション取引のプット/コールレシオは半年前と比べると下落していますが、8月以降ではほぼ横ばいで推移しています。リスク回避のプットオプションが増加すると数値は上昇し、弱気なトレーダーが多いことを示唆しますが、現在はコールポジションの割合が多い状態です。こちらでも先物価格乖離と同様に投機筋の売りはそこまで多くない事が示されています。
オンチェーン・データ
ハッシュレート
- ハッシュレートは6月から11月まで上昇傾向でした。しかし11月の価格下落時からハッシュレートは下落し始めました。30日移動平均線と60日移動平均線のデスクロスも発生しており、採算が合わなくなったマイナーが機器を止めハッシュレートが全体的に下落している事がわかります。現在のハッシュレートの低下からはマイナーの苦しい台所事情が伝わってきます。ハッシューレートの下落は、ビットコイン価格の下落圧力となる可能性もあります。今後もマイナーからの売りが懸念されます。
取引所保有BTC
- 上記の2つのチャートは、取引所保有BTC推移とその変化を表したものになります。ここ半年間で約40万BTCが取引所から流出しています。現在は227万BTCが取引所に預けられています。特に目立った動きとしては、11月に海外大手取引所FTXの破綻がきっかけとなり、取引所からBTCの引き出しが殺到しました。大手取引所が破綻したことで市場では信用不安が広がり、ユーザーの現物を引き出す動きが活発化しました。現在の市場は不安定な状態にあり、今後も取引所からの流出は継続するものと予想されます。
リアライズドP/L
- リアライズド・プロフィット/ロスは、送金された時点のビットコイン価格を参照にして損益が算出されます。ここ半年では、6月と11月の価格下落時に大きなロスが発生しています。どちらも40億ドルを超えるロスが計上されており、多くの投資家が損切りしたものと考えられます。11月の下落では、43億ドルのロスが計上され過去最高値を更新しました。多くの投資家が損切りした事で相場の売り圧力が減少するとも予想されますが、現在の相場の値動きからはトレンドの変化はまだ見られません。売り圧力が減少しても買いが優勢な状況には変化しておらず、現在の相場環境が非常に悪い状態にあることを示しています。
含み益アドレス推移
- 上記2つのチャートは、ビットコインの含み益アドレス割合と長期保有者で損失が出ているアドレスを計上した指標になります。現在の含み益アドレス割合は50%を下回っており、今年の最低値で推移しています。長期保有者損失数は609万アドレスに上り、過去最高値圏で推移しています。どちらの指標も2020年コロナ相場の暴落時と同様の水準で推移しており、オンチェーン上では多くの投資家のカピチュレーションが確認されています。同水準ではヒストリカルで弱気トレンドの転換点になっています。一方、今年は世界各国の利上げで投資需要が抑制されており、相場の買い戻しが弱く、過去に例を見ない相場環境になっていると考えられます。