クジラの売りを乗り越えたBTC 材料目白押しの1週間がスタート

21日〜27日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比20万0465円(1.15%)高の1763万4818円と小幅に反発した。
クジラによるサトシ時代のBTC売却懸念から25日のBTC円は東京時間に1750万円から下値を模索する展開となり、終盤には1700万円を窺った。欧州勢参入後には1730万円近辺まで回復するも、ドル高が進む中、米国時間序盤は再び1700万円まで下落した。
一方、ギャラクシー・デジタルがクジラによる1.3兆円ものBTC売却を完了させたと発表すると、BTCは一気に買い戻され下げ幅を縮小。週末には再び1750万円を試す展開となった。
また、27日に米中が相互関税適用期限を90日間延期させる方向で調整していると報じられ、相場は1750万円の回復に成功。ドル建てでは11万9000ドル(≒1758万円)を回復した。

30日に保ち合いの安値1716万1270円を割り込み、下放れの可能性を漂わせたBTC円だったがギャラクシーの売却完了発表により、その日中に保ち合い内に戻した。こうしたなか、米国は中国以外にもEUとの通商協議でも進展が見られ、週明けの金融市場はリスクオンとなりやすそうだが、シカゴマーカンタイル取引所(CME)のBTC先物は下窓を開けており、目先のBTCは窓埋めに注意したい。
他方、今週はBTCにとって材料目白押しの1週間となっている。まず、30日には米連邦公開市場委員会(FOMC)と米暗号資産(仮想通貨)政策レポートの公開が控えている。
FOMCでは政策金利の据え置きがほぼ完全に織り込まれているが、プライベートセクターの雇用が減速した6月の米雇用統計や、3年ぶり高水準で推移する失業保険継続申請件数などをFRB当局者らがどう評価しているかが注目される。インフレは足元でやや加速しているものの、声明や記者会見で労働市場減速への懸念が示されれば、9月の利下げが市場で意識される可能性もあるだろう。
一方、仮想通貨政策レポートを巡っては、規制の新たな枠組みやリテール向け中央銀行デジタル通貨禁止の他に、戦略的ビットコイン備蓄(SBR)の運用方針も盛り込まれる可能性がある。1月の大統領令では、政府が「押収したBTCを備蓄することを模索」と記されていたが、既に3月のSBR創設でこれは実現しており、レポートではもう一歩踏み込んで追加購入方法に触れられているかが注目される。
その他、今週は31日の6月米個人消費支出(PCE)価格指数や、8月1日に7月の米雇用統計と、FRBの政策を左右する指標の発表が立て続けに控えており、相場に動意を与え得る材料が多い。仮に、夏以降のFRBによる利下げを正当化する結果が出れば、BTC相場にとっては追い風と言え、ドル建てでは13万ドル(≒1921万円)も射程圏内と見ている。ただ、来月のジャクソンホール経済シンポジウムでの政策方針転換の芽が摘まれる結果となれば、BTCは調整局面入りも視野に入るため、今週は相場にとって重要な分岐点となりそうだ。




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bitbank Report 2025/07/28:クジラの売りを乗り越えたBTC 材料目白押しの1週間がスタート