近年稀に見るハッシュレートの急落 弱材料複数のBTCはこの先どうなる?

先週(12日〜18日)のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、激しい値動きの中、前週比416,998円(6.33%)安の6,173,000円と3週ぶりに反落し、2週間ぶりの安値まで押した。
先週の暗号資産(仮想通貨)市場は、14日のコインベース上場を目掛け全面高の様相を呈し、ビットコインは同日に7,055,120円の史上最高値を付けた。一方、その後はコインベース上場で事実売りが入りビットコイン相場は失速。16日には新疆ウイグル自治区における停電が中華系マイナーのハッシュレート急落に寄与している可能性が浮上し、ビットコイン相場は下げ足を速め、650万円付近まで押した。このほか、先週は週後半にかけて、①米マサチューセッツ州の金融当局がロビンフッドのブローカー・ディーラーライセンス剥奪の思惑、②サブレディット「r/Wallstreetbets」での仮想通貨関連議論の禁止、③米財務省が仮想通貨軽油の資金洗浄(マネーロンダリング)を巡って複数金融機関を告発するという旨のネット上のリーク情報が相場の重石となり、週末のビットコイン相場は対ドルで節目の60,000ドル(≒652万円)や2月高値の58,367ドル(≒635万円)を割り込み、一時580万円まで一気に売り込まれた。
足元のビットコインは、580万円から安値拾いの買いに支えられ、620万円周辺まで戻している。


ビットコインのハッシュレートは16日、200 Ehash/s付近から120 Ehash/sと近年稀に見る49%ほどの大暴落を記録し市場に驚きを与えた(第3図)。翌17日には107 Ehash/sまでさらに低下したが、18日からは140 Ehash/sに戻し徐々に安定を取り戻しつつある。停電の影響で中華系マイナーによる損失補填の利食いが危惧された形と指摘されるが、実際にマイナーによる大量のビットコイン売りがあったかは確認されない。また、中華系マイナーは北米系マイナーと比較してより長期的なスパンでマイニングを行うと言われ、採掘した仮想通貨を担保に資金を調達したりしている。よって、彼らが採掘した仮想通貨はロックアップされており、すぐに売りに出される量も限られると指摘される。
また、上記③の米財務省に関する情報だが、こちらに関しては情報源が明示されておらず、米仮想通貨関連法律に詳しい弁護士ジェイク・チェルビンスキー氏によれば、犯罪調査に関する情報が漏洩されている点と、告訴するのが司法省でなく財務省である点に違和感があると指摘され、信頼できる情報ではないと言う。
表面上、こうした弱材料が複数でたのは事実だが、ビットコイン相場の大きな下落幅を生んだ要因はもっぱらロングの強制精算であり、週末の相場急落でこうした市場のポジションの偏りも幾分改善されたと指摘される。相場が対ドル2月高値を割り込んだのはやや痛手だが、ボリンジャーバンドの-2σ(≒608万円)は終値で死守しており、下落トレンド入りが示唆される状況ではないだろう。
外部環境から鑑みて、ビットコインと相関性が高い米期待インフレが直近1ヶ月のレンジ上放れを試していること、また、強い米国の経済指標を受けてリスクオンムードが保たれていることから、今週のビットコインは底堅い展開が予想され、60,000ドル水準まで戻す展開を見込んでいる。






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bitbank Report 2021/04/19:近年稀に見るハッシュレートの急落 弱材料複数のBTCはこの先どうなる?