ビットコインは5日続伸 米CPIに注目集まる

9日のビットコイン(BTC)対円相場は263,105円(4.63%)高の5,951,105円と5日続伸。相場は短期レンジの上方ブレイクに成功し、およそ2週間ぶりに終値で590万円を奪回した。
週明けからのリスク選好度改善に加え、ノルウェーのエーカーグループが新子会社を設立し1,170BTC(≒70億円)の購入を発表したことや、ブルームバーグのアナリストがビットコインが貴金属にとって代わって価値の保存手段として地位を高めているとの分析が追い風となり、BTCの対円相場は8日にレンジ上限の554.5万円の上抜けに成功。9日の東京市場時間には一段高となり、590万円台に乗せた。
その後の相場は騰勢を緩め、対ドルで節目54,000ドル(≒587万円)を挟み込む展開となるも、ギャラクシーデジタルのビットコイン上場投資信託(ETF)がこの日カナダで上場したことや、経済協力開発機構(OECD)の本年世界経済予想の上方修正などが材料視され、相場は徐々に安値を切り上げていった。

本日は午後10時30分発表の米消費者物価指数(CPI)に注目が集まる。先月発表された1月分のCPIは市場の予想を下回り、BTC相場は弱含んだ。先週公開された米地区連銀経済報告(ベージュブック)からは、エンドプロダクトの価格引き上げに踏み込めた企業はごく僅かという印象を受け、コアCPIの上昇にはそれほど期待できない一方で、需要の回復とサプライチェーンのボトルネックによる非労働インプット(エネルギーや資材、運搬コスト)の上昇が示されていた。事実、1月分の生産者物価指数(PPI)やISM製造業景況指数は上向いており、2月は物価上昇ペースの加速が指摘される。
米長期金利の上昇やドル高の環境下でもBTC相場が支えられる背景には、米国でのインフレ高進懸念があると考えられるため、健全な物価上昇が示されればBTCにもプラスになると見ている。
BTCの対円相場は、いよいよ2月高値(615万円)を目指す展開となっている。対ドルでは、2月高値は58,350ドル周辺となっているため、対円では634万円が目先の上値目途となろう。ただ、3月の市場サイクルや、2月の相場反落に出来高の増加が伴っていることを鑑みれば、トントン拍子に同水準の上抜けとはならないか。直近数日の相場上昇に出来高の増加も伴っていないため、こうしたテクニカル的な節目が相場のレジスタンスとなることも想定しておきたい。




