指標下振れで出鼻を挫かれたBTC 金利上昇静観で失望感も

4日のビットコイン(BTC)対円相場は173,903円(3.22%)安の5,234,182円と反落し、前日の上げ幅を掻き消した。
前日3日のBTC相場は、米株先やアルトコイン相場の上昇を追い風に、一週間ぶりに50,000ドル(≒540万円)を回復し先月25日の高値(554.5万円)を上回る場面もあったが、この日発表されたADP雇用統計が市場の拡大予想に反して前月比で伸びが鈍化する結果となると、一変して売りが膨らみ反落。相場は短期レンジの上方ブレイクに成功したかと思いきや、これによりレンジ内に押し返された(第2図)。
昨日の東京市場のBTC相場はレンジ上限で戻り売りが入り一段安。その後は530万円を挟み込み不安定な値動きが続くも、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長がこの日出席したイベントで、米国債利回りの上昇を静観する姿勢を維持すると、米長期金利は上昇し、これに伴う株安に連れてBTCはさらに一段安となった。株式市場での直近のボラティリティ上昇を懸念して、パウエル議長からは金利に対するスタンスに変化が見られるか期待感があったが、昨日のパウエル議長の発言は失望感を誘う結果となった。


米長期金利の上昇はインフレ高進懸念も背景にあるため、必ずしもBTCにとってマイナス要素ではない一方で、これには経済の回復が伴わなければならない。この中でも雇用は特に重要で、フィリップス曲線で提唱されるように失業率とインフレは右肩下がり(高失業率で低インフレ)の関係にあるとされる。これを裏付けるように、先月上旬に米新規失業保険申請件数や雇用統計が労働市場の回復を示唆すると、BTC相場は期待インフレ率と共に上昇しており、相場は長期金利とも順相関関係となっていた(第3図)。
本日は米労働省の雇用統計発表を控えている(午後10時30分)。前回1月分の非農業部門雇用者数は前月比4.9万人増加し、2月は18万人強の増加が予想されている。今回はテキサス州で起きている記録的大寒波の影響も懸念されるが、前月の拡大ペースを上回れるか注目だ。

目先のBTC対円相場は上値の重い展開が予想。今夜の雇用統計が上振れれば相場の下げ止まりも予想されるが、昨日のパウエル議長発言への失望感で今月の連邦公開市場委員会(FOMC)でもハト派的な材料が出ない公算を見越して少し売りが出やすいか。
チャート上では、短期移動平均線が収斂し、ボリンジャーバンドもスクイーズしており、短期的に相場が方向感を示せておらず、引き続き値固めが続いている。目先の下値目途としては、先月28日に相場のサポートとなった34日移動平均線(≒489万円)、その下はレンジ下限やボリンジャー-2σが密集する460万円〜463万円エリアがある。反発の場合でも、現状で50,000ドル台の定着には相応に強い材料が必要と指摘され、目先の上値は限定的か。





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bitbank Report 2021/03/05:指標下振れで出鼻を挫かれたBTC 金利上昇静観で失望感も