BTCは上値追いに失敗 戦禍拡大と米雇用失速のダブルパンチ

2日〜8日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比16万円(1.55%)高の1046万5000円と小幅ながら反発し、6週間連続の週足下落に歯止めが掛かった。
2月28日に始まった米・イスラエルとイランの軍事衝突に関して、事態の早期収束期待がBTC相場を押し上げ、週央4日には1164万6372円の高値を記録した。一方、イランによる周辺国のエネルギー施設に対する報復攻撃が拡大するなか、ペルシャ湾で米国のタンカーが攻撃を受け炎上したとの報道などを受け、週後半からは早期収束期待が剥落。原油価格の高騰にも拍車が掛かり、インフレ再燃懸念から米金利が上昇し、BTCは徐々に上げ幅を縮小していった。
6日に発表された2月の米雇用統計では、月間の雇用者数が-9.2万人と市場予想の+5.9万人を大きく下回った上、失業率も4.3%から4.4%に悪化し、スタグフレーション懸念が台頭。これを受けてBTCはさらに水準を落とし、週末には1070万円台まで下落した。
週末の間にも、イスラエルがイランの石油備蓄施設を攻撃したほか、米国とイスラエルが特殊部隊の投下を協議しているとの報道があった。また、トランプ米大統領はイランに対し、無条件降伏以外は認めないとしたが、イラン外相はこれを拒否しており、中東情勢悪化懸念により週末のBTC相場はジリ安基調が続いた。

雇用統計は強弱どちらに転んでもBTC相場の支援材料となりにくいと指摘したが、結果は雇用者数の減少というサプライズとなり、インフレと景気減速懸念が組み合わさるある意味で最悪なコンビネーションとなった。結果を受けてFF金利先物市場では、6月の利下げ確率がやや上昇したものの、スタグフレーションが意識されるなかでは、リスク資産は売られやすい。
フィナンシャル・タイムズ(FT)は本日、G7が4億バレルの緊急石油備蓄の協調放出を協議すると報道し、原油価格は今朝方の急騰から一転して下げに転じているが、米エネルギー情報局によればホルムズ海峡を通る石油は一日に約2000万バレルとなっており、単純計算で20日分しか賄えない。実際のロジスティクスや精製キャパシティといったボトルネックを勘定すれば、20日間分の負荷軽減効果はさらに低下するだろう。
イラン紛争において米・イスラエルが圧倒的優勢であるという市場の期待感が剥落し始めた現在、原油価格と金利の上昇が落ち着くタイミングは一層不透明になったと言えよう。BTCにおいては、一定の逃避需要の受け皿になっていると指摘されるが、本日のアジアの株式市場はメルトダウンと言えるほどの下げを見せている。米国株も追随して急落を演じれば、BTCが強く売り込まれる可能性も排除できない。
今週は水曜日に2月の米消費者物価指数(CPI)を控えているが、2月はイラン紛争の影響が反映されていないことから、市場の注目度は平常時と比較して相当に低いだろう。
よって、今週のBTC相場は中東情勢の行方に大いに振り回されると見ており、戦禍の拡大、或いは収束に向けた情報のヘッドラインに注目したい。




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bitbank Report 2026/03/09:BTCは上値追いに失敗 戦禍拡大と米雇用失速のダブルパンチ
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