BTCはホルムズ海峡動向を巡り週末に下落 週明けの市場は楽観か?

16日〜22日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比47万7673円(3.13%)安の1480万3364円と下落した。
18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を無難に通過したBTC円は1500万円台前半で小動きが続くと、翌19日も米市場が休場だったことで方向感に欠ける展開が続いた。20日には米金利の上昇を受けて一時1550万円にタッチするも、中東情勢を巡る懸念から米国株相場が軟化すると、上げ幅を完全に吐き出した。
22日未明には、米テキサス州(TX)で戦略的ビットコイン備蓄(SBR)法が知事の署名により成立すると、事実確定売りが入り1500万円を割り込むも、その後米国が3つのイラン核施設に奇襲爆撃をしたと報じられると、若干の買い戻しが入り、1500万円での揉み合いに転じた。しかし、夜になるとイラン議会がホルムズ海峡の封鎖を承認したことで地政学リスクや世界経済の先行き不透明感から売りが強まり、BTCは1450万円周辺まで一段安を演じた。
一方、今週のデリバティブ市場が再開すると、原油先物は急落、米株先物は急上昇で取引を開始し、シカゴマーカンタイル取引所(CME)のBTC先物も上窓を埋めにいく形で上昇し、BTC円は1480万円を回復した。

20日の相場下落でBTCドルは高値圏での三角保ち合い下放れとなり、値幅調整が進んだ格好だ(第2図)。ただ、昨日の終値にかけて買い戻されたことで、昨日は長い下ヒゲをつけており、終値ベースでは心理的節目の10万ドル(≒1467万円)を維持し、一目均衡表の分厚い雲の中で底堅さを示したと言えよう。
ビットコインのオンチェーン上では、短期筋(Short-Term Holder、STH)の損益の割合(レシオ)が昨日時点でニュートラルになっており、相場水準的には押し目買いが入りやすい値頃感もでてきたと指摘される(第3図)。一方、STH損益レシオが1を下回れば、需給構造的には弱気相場に突入することとなり、足元のBTC相場は岐路に立たされていると言える。


目先の焦点としてはイラン政府が実際にホルムズ海峡を封鎖するかと指摘されるが、シェールオイルによって自国の原油生産の7割が賄える米国に対してホルムズ海峡の封鎖は有効的な報復措置とは言えず、イランにとっては寧ろ同盟国経済への打撃ともなり得る。こうしたことから週明けの市場は楽観ムードが広がっている模様だ。
よって、目先のBTC相場は①オンチェーン的な値頃感による押し目買い、②中東情勢を巡る市場の楽観姿勢によって、BTC先物の窓埋めが完了する10万3000ドル(≒1511万円)を試す展開が見込まれる。
ただ、現時点でイランがすんなりと停戦協議に応じるかは不透明だ。中東に点在する米軍基地への攻撃の可能性も指摘されており、引き続き中東情勢の行方には警戒が必要だ。
他方、先週から米国軍の中東介入機運が高まったことで上値を重くしたBTC相場だが、米国の現物ビットコインETFへの資金流入は続いた(第4図)。20日にはペースが鈍化したものの、9営業日連続の純流入を記録しており、地政学的有事でも一定の需要があると言える。依然として緊張感が漂う状況ではあるが、BTC相場の下値は限定的か。





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bitbank Report 2025/06/23:BTCはホルムズ海峡動向を巡り週末に下落 週明けの市場は楽観か?