BTC売り一巡で週足は横ばい FOMCがタカ派でもBTCは上昇か?

9日〜15日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比9037円(0.06%)高の1528万1037円とほぼ変わらずだった。
先週のBTCは週明けから上値を追う展開となり、週央には一時1600万円にタッチするも、中東情勢の緊迫化によって反落すると、13日東京時間にイスラエルがイランの核施設を攻撃したことで売りが加速し、一時1475万円近辺まで売り込まれた。
一方、「戦争売り」が一巡すると、BTCは買い戻され、東京時間中盤からは上昇に転じ、その後も米国株が下落する中、確りと推移し1530万円を回復した。
週末の間もイスラエルとイランの攻撃の応酬が続いたが、BTCは底堅い推移で揉み合いに終始すると、週明けの米株先物や日経平均の上昇に連れて強含み、1530万円を窺う展開となっている。

13日にも指摘の通り、地政学リスクでBTCは売られやすいが、売り一巡後は買い戻される傾向があり、今回も同様に売りは一時的だった。また、中東情勢の見通しは悪いが、週末の間に米露首脳会談が行われたことや、イラン側が停戦条件を提示したことから、週明けの市場からは安心感が窺える。
他方、13日の米国市場ではリスクオフにも関わらずドルや米国債も売られ、金利が上昇した。こうした中でBTCは戻りを試し、米国の現物ETFには3億ドル超の資金流入があった。米国の債務問題による「アメリカ売り」が起こる以前では、金利上昇は基本的にBTC相場にとって重石となっていたが、国というカウンターパーティリスクの台頭によって状況が変わったと指摘される。
また、金利の上昇は原油価格急騰も一つの要因と言え、市場のインフレ再燃懸念を示していると言える。インフレが再燃すれば米連邦準備理事会(FRB)が利上げを迫られる可能性があるという訳で、従来であればBTCが売られる理由になっていた筈だが、金利上昇による米連邦政府の公的債務利払い増加、即ち財政の悪化が意識され、金利上昇が寧ろBTCの支援材料となっている可能性がある。
こうした中、今週は18日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えている。従来からFRBはトランプ関税の経過観測のため、政策スタンスを緩める気配が薄かったが、今回の中東情勢悪化による原油価格高騰を背景に慎重姿勢を一層強めるだろう。いずれにせよ直近で金利が低下するシナリオは想定し難い状況となってきており、仮にタカ派的な結果だとしても米金利の上昇がBTC相場の支援となるか。
よって、今週のBTC相場は戻りを試す展開をメインシナリオとして想定する。足元の相場の直下には一目均衡表の厚い雲も位置しており、想定外の場合でも下値は堅いだろう。先ずは、先週の高値から安値の半値戻し水準となる10万6700ドル(≒1541万円)をクリアできるかに注目したい。




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bitbank Report 2025/06/16:BTC売り一巡で週足は横ばい FOMCがタカ派でもBTCは上昇か?