BTCは全値戻しで横ばい 米CPI加速予想も方向感鈍いか

2日〜8日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比4万1555円(0.27%)高の1527万2000円とほぼ変わらずだった。
週央まで1500万円周辺で方向感に欠ける展開が続いた先週のBTC円だったが、「トランプ減税」法案を巡ってトランプ氏とマスク氏が批判の応酬を繰り広げたことで、5日の米株市場ではテスラが急落し、BTCも連れて一時1450万円周辺まで水準を下げた。
一方、これによりドル建てBTC相場が心理的節目の10万円周辺まで水準を下げると、その後は買い戻しが入り、6日の欧州時間には半値戻しを回復し、確りと推移。また、この日発表された5月の米雇用統計が上振れとなると、景気後退懸念が和らぎリスクオンムードが相場を1530万円周辺まで押し上げた。
週末に入ると相場はやや失速するも、一部アルトコインが確りとなったことでBTCも底堅く推移。本日未明には1540万円に肉薄したが、シカゴマーカンタイル取引所(CME)のBTC先物が取引を開始すると、下窓を埋めに行く展開となり、足元では1520万円台でジリ安に推移している。

「トランプV.S.マスク」の影響は想定通り一時的となり、ドル建てでは10万ドル台中盤まで戻したBTCだが、底堅い推移となった一方で方向感は示せずとなった。今週は5月の米消費者物価指数(CPI)と同卸売物価指数(PPI)の発表を、それぞれ11日と12日に控えており、来週の米連邦市場委員会(FOMC)に向けてインフレ指標が目玉材料となろう。
これまで、2月からの段階的なトランプ関税の発動にも関わらず米国のインフレは鈍化してきているが、5月のCPIは若干の伸びの加速が見込まれている。関税による物価上昇圧力の影響は一時的とみているが、指標が上振れとなれば市場の警戒感は高まると指摘され、BTCの上値は圧迫されよう。
一方、利下げを渋る米連邦準備理事会(FRB)に対して痺れを切らすトランプ氏は6日、次期FRB議長が「すぐ明らかになる」と異例の発言をした。4月に同氏はパウエル現FRB議長の解任を仄めかす発言を展開し、市場に混乱を齎したが、米金融システムの中立性や独立性が脅かされたことでBTC相場には追い風となっていた。
BTCにとって米CPIの加速は懸念材料だが、FOMCを控えトランプ氏がFRB批判を再び展開する可能性もあり、同氏の発言には注目しておきたい。
他方、DeribitのBTCオプション市場では引き続き積極的にアップサイドのコールを物色する動きは確認されない。反対にダウンサイドのストライクでも取組の顕著な増加はなく、米CPIの加速が見込まれる中でもオプション市場では引き続き様子見ムードが窺える。
米CPIの結果次第である程度の相場の動きは想定されるが、今週のBTC相場はオプション市場で建玉が集中する10万ドル(≒1445万円)〜11万ドル(≒1590万円)の間で推移するか。




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bitbank Report 2025/06/09:BTCは全値戻しで横ばい 米CPI加速予想も方向感鈍いか