BTC週足は米国売りで7週続伸 まだ上げられるか?

19日〜25日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比114,700円(0.74%)高の1560万2010円と7週続伸した。
米国債の格下げとトランプ減税法案の下院通過によって米国の財政問題にスポットライトが当たる中、米テキサス州で暗号資産(仮想通貨)準備金法(SB21)が最終読会を通過したことで、BTCには米国債やドルからの逃避マネーが流入し、1600万円を回復。ドル建てでは1月20日の史上最高値(ATH)を更新した。
一方、23日にはトランプ米政権が海外で生産されるアップル社のiPhoneに25%の関税を賦課する意向を示した他、6月1日からEUに50%の追加関税を課すと発表したことで、通商協議が難航していることが嫌気され、米国時間にリスクオフムードが台頭。BTCは1600万円から反落し、週央にかけての上げ幅を吐き出した。
ところが、週末の相場は1500万円台前半で下げ渋る展開が続き、底堅い推移に転じると、今朝方、トランプ氏が対EU追加関税の発動を7月9日まで延期すると発表し、1550万円を回復した。

23日の相場反落でBTCには上昇一服感が窺える。ただ、トランプ関税懸念が緩和した他、テクニカル的な過熱感も後退する中、現物ビットコインETF経由の資金流入は続いており、足元では目立った売材料も視野に入ってこない。
一方、先週から指摘の通り、DeribitのBTCオプション市場では引き続きアップサイドのコールを積極的に物色する動きは確認されない(第2図)。5月30日のオプションカットを控えて取組が細ってきている可能性も指摘されるが、週央から発表されるエヌビディアの決算、米GDP成長率改定値、それから4月の米個人消費支出(PCE)デフレーターを通過するまでオプション市場も様子見となっている格好だ。
アップサイドでは、11万ドル、12万ドル、12万5000ドルストライクで建玉の増加が目立ち、先週上値目途と指摘した11万5000ドル(≒1638万円)は引き続き現実的な上値のターゲットとしてみているが、今週は相場が積極的に上値を模索するというよりは高値で揉み合う展開が視野に入る。

また、今週はタカ派的な印象を与えた5月米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨や、先月、米国のスタグフレーション懸念を想起させたGDP成長率を含む一連の四半期データの改定値発表も控えており、相場の一筋縄な上昇を期待するのは楽観的過ぎると言えよう。



