高値圏で揉み合いのBTC マイニング難易度下方調整で上昇再開なるか
19日のビットコイン(BTC)対円相場の終値は8403円高(+ 0.8%)の105.3万円。週明け18日からのBTCは100万円周辺の高値圏で揉み合う展開が続いている。18日には、米医療ベンチャーのモデルナが、同社が開発する新型コロナウイルスワクチンの臨床試験で、45人の被験者全員から抗体が確認されたと発表。ヒトからはっきりと抗体が確認されたケースは市場で好感され、この日のNY株式市場ではダウ工業株30種平均が一時は1000ドル高を記録するなどリスクオンが加速した一方、心理的節目の1万ドル手前で揉み合うBTCは、7日高値(107万円)と14日高値(106万円)を結んだ短期下降トレンドラインに上値を抑えられ、上げ幅は9245円と限定的だった(第1図)。19日の相場も、米スクエアのCash AppのBTC定期購入機能追加の発表を契機に103万円から一時は106万円台に乗せるも、海外デリバティブ取引所のBitMEXでの取引エンジン停止や、暗号資産(仮想通貨)レンディングサービスのBlockFiからの情報漏洩が嫌気され反落。直後にBitMEXが顧客資産は安全と公表し、米上院銀行委員会での連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長証言が迫ると相場も徐々に戻したが、特段、目星い材料はなく、戻りは限定的だった。しかし、本日予定されるBTCマイニング難易度(ディフィカルティー)の下方調整を前に、実需売りの後退を見込んだ買いも根強く、対円ではトレンドラインを僅かに上回り終値をつけた。
本日予定のBTCマイニングディフィカルティー調整の予想値は、約- 6%と比較的に大きな下方調整となる見通しだ。半減期後の相場は底堅い推移となっており、今回のディフィカルティー調整でマイニング報酬半減による収益悪化に伴う売り圧力の後退が期待される。これまで、- 5%以上の下方調整があった18年12月、19年11月、20年3月の直後には、相場が底入れとなっていた。
昨日は、米ナスダックが上場基準の厳格化で一部中国企業の上場に制限をかける見通しや、世界保健機構(WHO)が同機構のコロナ対応に関する調査実施を可決した。WHO調査の時期に関しては、依然、定かではないが、米トランプ大統領が指摘するような中国側の情報隠蔽が万が一浮き彫りとなれば、中国に対する報復措置を取る恰好の材料ともなるため注目だ。前日にはワクチン報道で株式市場はポジティブムードとなったが、米中関係悪化のリスクは着々と膨らんできていると言え、中長期的にBTC相場の追い風となるか。
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bitbank Report 2020/05/20:高値圏で揉み合いのBTC マイニング難易度下方調整で上昇再開なるか