仮想通貨レンディングとは?メリットやいくら増やせるかシミュレーションも紹介
仮想通貨投資は通常の売買だけでなく、デイトレードやスイングトレード、積立投資などの取引方法も存在します。仮想通貨レンディングは取引方法の中でも珍しい仕組みで、通貨を預けるだけで資金を増やせるかもしれません。
今回の記事では、仮想通貨の取引方法である「仮想通貨レンディング」の仕組みや始め方、どれくらいの収益が期待できるのかを中心に解説します。
仮想通貨レンディングとはどんな方法?
仮想通貨レンディングには、他の取引方法にはない特徴があります。取引の選択肢を増やすためにも、まずは仮想通貨レンディングの特徴を把握しましょう。
仮想通貨レンディングの意味と仕組み
レンディングとは、株や債券などを証券会社などに貸し付けて利益を得る取引です。仮想通貨の場合、保有している通貨を取引所やレンディングサービス業者などに貸し出す代わりに、賃借料や利子を得られます。
bitbankではレンディングの仕組みを2018年頃から仮想通貨に導入し、売買以外の方法で資金を増やせるようになりました。
他の投資方法との違い
レンディングは仮想通貨の取引なしで資金を増やせるため、売買で利益を得る他の投資方法と異なります。保有している通貨を取引所に貸し出すだけなので、売買するスキルがなくても、資金を増やせる可能性があるのです。
預けているだけで金利がつくので、感覚的には銀行預金と近い投資手法ともいえます。
仮想通貨レンディングは法的に問題ない
仮想通貨レンディングは、銀行預金が0.001%に対して金利が0.1〜5%と高いため、法的に問題ないか心配になる方が多いです。結論、仮想通貨レンディングは法的に問題ありません。
仮想通貨は法的に「金銭」とみなされていないので、貸金業法で規定されている貸金業には該当しません。そのため、銀行やクレジットカード会社が遵守している貸金業法の規制を受けないのです。
14 この法律において「暗号資金」とは、次に掲げるものをいう。ただし、金融商品取引法第二十九条の二第一項第八号に規定する権利を表示するものを除く。
一 物品等を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨、通貨建資金並びに電子決済手段(通貨建資金に該当するものを除く。)を除く。次号において同じ。)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
二 不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
引用:資金決済に関する法律「第二条第一四項」
仮想通貨レンディングのメリット
仮想通貨レンディングは、保有している通貨を貸し出すだけで利益を得られるため、他の取引方法にはない特有のメリットがあります。取引の幅を広げたい方は参考にしてみてください。
銀行預金よりも金利が高い
仮想通貨レンディングの金利は高く、国内取引所では年率0.1〜5%で利用できます。銀行預金の金利(0.001%)と比べると、数百〜数千倍異なります。
項目 | 年率 | 100万円の資金を1年間預けた場合の利益 |
仮想通貨レンディング | 5% | 5万円(100万円×0.05) |
円預金 | 0.001% | 10円(100万円×0.00001) |
参考:三菱UFJ銀行「円預金金利」bitbank「暗号資金を貸して増やす」
そのため、資金を効率的に増やすなら仮想通貨レンディングの方がおすすめです。
少額からでも始められる
仮想通貨レンディングの募集内容によっては、少額からでも始められます。例えば、bitbankでは一時期、以下内容のレンディング募集を行っていました。
仮想通貨 | 年率0.5% | 年率1% | 年率2% |
BTC | 0.01 BTC以上5 BTC未満 | 5 BTC以上50 BTC以下 | - |
LTC | - | 0.5 LTC以上100 LTC未満 | 100 LTC以上375 LTC以下 |
XRP | - | 1,000 XRP以上 100,000 XRP未満 | 100,000 XRP以上 1,875,000 XRP以下 |
ETH | - | 0.1 ETH以上 30 ETH未満 | 30 ETH以上 375 ETH以下 |
利率や数量は募集タイミングによって異なります。レンディング取引を始めたい通貨があれば、募集タイミングまで待つのもよいでしょう。
知識がなくても資金が増やせる
仮想通貨レンディングは、基本的に取引所に預けるだけで運用できます。取引方法にもよりますが、仮想通貨で利益を出すためには通貨に関する勉強時間を確保したり、チャートを分析したりする必要があります。
一方、仮想通貨レンディングなら知識がなくても運用できるので、売買で利益を出す自信がない方や取引する時間が確保できない方におすすめです。
手間がかからない
レンディングは保有している仮想通貨を貸し出すだけなので、ほとんど手間はかかりません。一般的な仮想通貨売買の場合、チャート分析スキルや通貨に関する知識の習得が必要になります。
レンディングの場合、貸し出す通貨を決めてしまえば手間をかけずに資金が増えるため、仕事や家事で忙しい方でも気軽に始められます。
仮想通貨レンディングのデメリット
仮想通貨レンディングには、メリットだけでなくデメリットもあります。取引を実施する前に把握して、仮想通貨レンディングを有効活用しましょう。
一定期間は引き出せない
仮想通貨レンディングは、取引所に通貨を預けると一定期間引き出せない仕組みとなっています。そのため、仮に通貨の価値が上がったとしても売却できません。
仮想通貨レンディングを始める際は、長期保有しても問題ない銘柄を選択しましょう。
価格変動で元本割れする可能性がある
レンディング期間中は通貨を売却できないため、通貨の価値が下がり元本を割っても売却できません。例えば、年利5%のレンディングに貸し付けていても、通貨自体の価格が5%以上下落する場合もあります。
レンディングは預けているだけで資金を増やせるサービスですが、価格変動で元本割れする可能性も考慮しておきましょう。
取引所が倒産するリスクもある
レンディング中に取引所が倒産してしまうリスクもあり、最悪の場合、預け入れた資金が戻ってきません。例えば、2022年に海外大手仮想通貨取引所のFTXは債務超過で経営破綻しました。現在も利用者の資金が返済されるかは不透明な状態です。
一方、国内取引所は基本的に金融庁が厳しく管理しているため、取引所が倒産して資金が戻ってこないリスクは低いと言えます。
仮想通貨レンディングはどれくらい収益を得られる?
仮想通貨レンディングで、実際どれくらい収益を得られるのか確認してみましょう。今回は、bitbankのレンディングサービスを例に解説します。
レンディング利率
bitbankのレンディングサービスは、募集月ごとに年利が0.1%〜5%の範囲で決まります。時期によって、レンディングを募集している通貨と利率が変わるので、投資対象ごとに都度確認する必要があります。
レンディングのシミュレーション
bitbankで仮想通貨レンディングを実施した場合、どれだけ収益を得られるかシミュレーションしていきましょう。設定条件は以下のとおりです。
設定項目 | 設定条件 |
貸出通貨 | 1,000XRP |
貸出期間 | 1年 |
年率 | 1% |
1XRP評価額 | 70円と仮定 |
【計算】
- 1,000XRP×1%=10XRP
- 10XRP×70円=700円
上記の条件で1年間レンディングを実施すると、700円の利益を受け取れることが予想されます。約7万円を預け入れて700円は少ないように思うかもしれません。しかし、仮想通貨は値上がり益も期待できるため、レンディングで枚数を増やし続けると、将来的には大きな利益になる可能性もあるのです。
今回実施したシミュレーションを参考に、仮想通貨レンディングも取引方法の一つとして把握しておくとよいでしょう。
仮想通貨レンディングの利益に対する税金はどれくらいかかる?
仮想通貨レンディングの利益に対する税金は雑所得に該当し、利益に応じて5〜45%の所得税と10%の住民税がかかります。
仮想通貨レンディングでは、20万円以上の利益を受け取った時点で課税対象となります。
(例)レンディングの利益が20万円の場合
- 所得税=20万円×5%=1万円
- 住民税=20万円×10%=2万円
- 所得税1万円+住民税2万円=3万円
レンディングで増えた資金は、売却しなくても受け取った時点で課税対象になるので、最終的な利益がいくらになるのか確認しておくとよいでしょう。
仮想通貨レンディングを始める簡単3ステップ
仮想通貨レンディングの始め方を確認しましょう。今回はbitbankを例に簡単3ステップで解説します。
- 口座を開設する
- 仮想通貨を購入する
- 取引所のレンディングサービスに申し込む
1.口座を開設する
まずは、取引所の口座を開設します。今回はレンディング目的の口座開設なので、取引所を選ぶ際には以下の項目を必ず確認しましょう。
- レンディングサービスの有無
- レンディング募集している通貨
2.仮想通貨を購入する
次に、レンディングを実施する仮想通貨を購入します。購入枚数によって、レンディングの利率は変化するので、希望の利率になるように購入するとよいでしょう。
ただし、生活資金に手を出すと精神的に余裕がない状態で実施することになるので、余剰資金の範囲内での購入をおすすめします。
3.取引所のレンディングサービスに申し込む
仮想通貨を購入したら、取引所のレンディングサービスに申し込みます。bitbankでは以下の手順で申し込みができます。
- メニューから「貸して増やす」を選択
- レンディングしたい通貨と貸出数量を設定
- 内容確認を選択して申し込み
仮想通貨レンディングで取引の幅を広げよう
仮想通貨レンディングは取引所に預けておくだけで、資金を増やせるサービスです。一般的な仮想通貨の売買と比較すると手間もかからず、初心者でも始めやすいです。ただ、預けている間は基本的に引き出せないため、価値が暴落しても売却できず、資金を大きく減らしてしまう可能性もあります。
仮想通貨レンディングを始める際には、長期間貸し出しても問題のない通貨や金額を選択しましょう。通常の取引方法とレンディングをうまく使い分けて、仮想通貨取引の幅を広げましょう。