BTCは底堅く3週続伸 米インフレ指標が次の試金石

8月31日〜9月6日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比10万9841円(0.88%)高の1256万2090円と小幅ながら3週続伸した。
4日に米雇用統計を控えるなか、週明けのBTC円は米長期金利の上昇を支えに1240万円台から1260万円台に浮上した。しかし、米軍によるイランへの攻撃が再開するなか原油価格が上昇。インフレ懸念を背景とした米短期金利の上昇に加え、ドル円相場の急落も重石となり、9月1日からはジリ安基調に転じた。
週央3日には一時1210万円台まで水準を下げたが、FRBのウォラー理事が、今後の経済指標がインフレ鈍化の兆候を示せば、9月米連邦公開市場委員会(FOMC)での政策金利の据え置きを支持する考えを示すと、相場は1270万円台まで急反発を演じた。
しかし、4日の米雇用統計では、雇用者数が市場予想の約3倍となる16.2万人の増加となり、BTCは1250万円周辺まで急反落した。
雇用統計通過後の買い戻しは限定的となり、週末の相場は1250万円を挟み込み小動きに終始した。

今週のBTC相場は、来週のFOMCを前に、米インフレ指標を睨みながら上値の重い展開となりそうだ。
先週はウォラーFRB理事から想定外にハト派的な発言があったことで、FF金利先物市場が織り込む9月利上げの確率は一時4割程度まで低下した。しかし、その後に発表された8月の米雇用統計が市場予想を大幅に上回ったことで、同確率は再び約6割まで上昇しており、9月会合を巡る市場の見方は目まぐるしく変化している。
こうしたなか、今週は10日に8月の米卸売物価指数(PPI)、11日には同消費者物価指数(CPI)が発表される。来週15日〜16日のFOMCを前に、金融政策を占う最後の重要な手掛かりとなるだけに、両指標に対するBTC相場の感応度は高まりやすいと言えよう。
尤も、足元では米30年債利回りが19年ぶりの高水準で推移しており、米国の財政持続性に対する懸念が後退したわけではない。先月以降、長期金利の上昇や米財務省による長期国債の買い戻し規模引き上げを切っ掛けに、無国籍資産としてのBTCが選好される場面が確認されてきた。先週の雇用統計が大幅に上振れしたにもかかわらずBTCの下げ幅が限定的だった背景には、こうした財政懸念が相場の下値を支えていることがあるとみられる。
一方、今週のインフレ指標が市場予想を上回る場合には注意したい。強いPPIやCPIを受けて9月利上げの織り込みが一段と進めば、政策金利の影響を受けやすい短期ゾーンを中心に米国債利回りが上昇し、イールドカーブには再びフラット化圧力が掛かる可能性がある。長期金利主導の利回り上昇が財政懸念を通じてBTCの支援材料となってきた一方、利上げ観測を背景とした短期金利の上昇は金融環境の引き締まりを意味するため、BTC相場の上値を圧迫する材料となろう。
総じて、米財政への懸念がBTC相場の下値を支える構図は維持されているものの、来週のFOMCを目前に控え、今週はPPIとCPIの結果によって9月利上げの織り込みが大きく変動する可能性がある。このため、両指標の発表までは積極的に上値を追いにくく、警戒感から上値の重い展開が続くとみている。インフレ鈍化が確認されれば利上げ観測の後退を通じてBTCは再び高値を試す余地があろうが、反対にインフレの伸びが加速すれば、短期金利の上昇とイールドカーブのフラット化を伴って相場の地合いが悪化する可能性には留意したい。


















